第12章 連なる悲劇。

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またまだ平家に降り注ぐ悲劇は… これだけでは終わりません…。 続く悲劇は、 それから02ヶ月後の09月23日。 2ヶ月前…盛子が急逝した時から 食欲がなく時折苦しそうに吐血していた重盛は22日から意識を喪い昏睡状態に陥っていました。 維盛「父上様、 しっかりして下さりませ。」 資盛「父上様…。」 重盛の正室である経子は、 もうすぐそこまで迫っている 夫との別れを覚悟しました。 重盛は鹿ヶ谷の陰謀で院と清盛の板挟みとなり苦しんでいました。 そのため考えすぎて胃に穴が開いて しまったと考えられます。 維盛、資盛、経子に看取られた重盛は42歳の若さで胃潰瘍により死去。 奇しくも清盛の子の内、 2人が同じ胃潰瘍になり死んでしまったのでございます。 清盛は「盛子、重盛」相次ぐ子の死により悲しみに暮れておりました。 その清盛の気持ちを逆撫でする事が 起こってしまうのでございます。 それは…。 平 盛子の遺領、並びに重盛の遺領を 国領地(こくりょうち)とする。 つまり2人の遺領を養子である基通と 実子であり嫡男でもある維盛に継がせず朝廷の領土にするという決定でございます。 これには清盛は納得がいきません。 と、いうか納得してなるものかといったお話でございます。 清盛「あの日の本一の大天狗! やりよったな!」 清盛は怒りのあまり後白河院の御所へ 殴り込み院を幽閉してしまいました。 重盛の生前からいつかはこうなると 思ってはいましたが…。 まさか喪も明けぬ内から反乱が 起きるなど誰も分かりませんでした。 清盛「親として子に先立たれるばかりか子らが生前治めていた領地まで奪われるとは…例え院であろうとも許さぬ!」 こうして後白河院は幽閉され 後白河院付きの女官である紬は 仕事を失いました。 紬「院が幽閉されたから宮中での 仕事がなくなったから私は事実上の 解雇みたいなものよね。」 知盛「なら…2人の子らも大きくなったし新たな子を産む事にするか?紬の子なら何人でも溺愛する自信がある。」 紬「知盛さんったら。」 こちらはいつまで経っても お熱い事でございます。 西暦1179年12月26日。 紬「うっ…。」 紬は突如気分が悪くなり その場に踞りました。 高千穂「母上! しっかりして下さりませ。」 この年で8歳となった高千穂に背中を擦って貰うと少しだけ落ち着いた紬 太郎「お祖母様をお呼びしてくる。」 10歳になった太郎は急いで 祖母である時子を呼びにいきました。 時子「あら?芳御前を 呼ばなければなりませんね。」 時子に呼ばれた薬師の芳御前が 紬を診察するとやはり診断は、 芳御前「御懐妊でございます。」 紬はまた愛しき知盛の子を宿したのでございます。 知盛「ありがとう、紬。」 紬が異世界転生を果たしてから約11年の月日が流れていましたが紬にとって家族と生きる平安時代が何よりも大切な場所となっておりました。 太郎「弟が出来るのですか?」 高千穂「とても嬉しゅうございます。」 幸せの絶頂にいた知盛と紬ら家族。 しかし…。 その幸せが壊れる瞬間が刻一刻と 迫っておりました。 それは幸薄なこの方によって… 以仁王(もちひとおう)…平家とは仲が悪く皇子の宣下すら受けさせて貰えない悲劇の皇族でございました。 以仁王「平家め…許さぬ!」 以仁王の母親は滋子…ではなく、 紫壷(しいのつぼ)の女御でしたが 建春門院滋子を溺愛する後白河院により女御の地位もはく奪され更衣となった悲劇の女性でございました。 紫壷の更衣「以仁、貴方だけが私の希望よ、平家から全てを奪いなさい。全てを奪われた私達にはその権利があるわ…。」 それが以仁王の母親である紫壷の更衣が最期に告げた言葉でございました。
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