第13章 宇治橋の戦い。

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第13章 宇治橋の戦い。

西暦1580年03月08日。 知盛「紬、腹が大分大きくなったな。」 紬「はい、順調でございます。」 太郎「義母上、いつになれば弟か妹に 逢えまするか?」 高千穂「兄は君に逢いたいぞ。」 紬ら家族が水入らずで楽しんでいると 宗盛が知盛らの居室に飛び込んで来ました。 宗盛「聞いたか、知盛!我ら平家から 帝が誕生なさる事になったぞ!」 相変わらずいきなり現れてはいきなり 言いたい事を告げるとさっさと出ていく自由奔放な宗盛…。 なので… 太郎「帝!我が一族から帝が誕生するとはどういう事にございまするか?」 知盛「あ…あれは…な。」 高千穂「もしや父上がなられるのですか?」 知盛「父は残念ながらなれん。 帝になれるのは皇室の血を引く方々であり皇子宣下をなさった方々の中から選ばれる。」 時の帝…安徳帝は高倉上皇と、 建礼門院の間に産まれました。 この時、僅か02歳。 帝と言いましてもまだ幼い事もあり、 母方の祖父である清盛の傀儡でした。 これに激昂したのが…。 以仁王「私を差し置いて…この私を 差し置いて…幼子が高位を継承するとは…笑止千万…!」 笑止千万(しょうしせんばん)… たいそう気の毒なこと、もしくは非常に馬鹿馬鹿しいこと。 源 頼政(みなもとのよりまさ)… 平治の乱では清盛の味方をしていましたので源義朝が敗死してから検非違使の仕事を引き受けていた源氏の一族。 頼政「ならば…日の本に散らばる源氏の一族に令旨をお出し下さりませ。必ずや以仁王様のお役に立って見せまする。」 頼政に言われた以仁王は、 日の本全てに散らばる源氏の一族に 「以仁王の令旨」を出しました。 しかし… 清盛「以仁王が何か怪しげな事を 考えているようだな。」 重衡「総帥、もし万が一戦となりましたなら是非この重衡にお任せ下さりませ。」 重衡は知盛の事を誰よりも尊敬していて知盛みたいになりたくて軍略を暇さえあれば勉強しておりました。 清盛「まぁ待て、あまり慌てるでない。まず…本人に聞かなければな。」 重衡「総帥がそのように仰せならば 従いまする。」 清盛はまず本人に問う事が先だと言い 重衡を伴い頼政の屋敷へ向かいました。 清盛「頼政、そなたは以仁王と仲が良かったよな?まさか…我らに謀反を企てるつもりではなかろうな?」 頼政は額に汗を掻きながら目を泳がせておりました。 頼政「そんな…こと…ありませんよ?」 清盛は頼政のあからさまに嘘をついてますと言わんばかりの言動に不信感を募らせていました。 しかし…証拠がありません。 なので… 清盛は渋渋ながら重衡を連れて 頼政の屋敷を後にしました。 清盛らが屋敷から去ると頼政は、 寡兵で得た軍勢の支度を済ませ装備を整えると以仁王の元へ向かいました。 頼政「これは…まずい。」 ここは三条高倉にある以仁王の邸宅。 以仁王「父上(後白河院のこと)は、 幽閉だけで済んだけれど私は命を 奪われる可能性すらある。逃げなければ。」 しかし以仁王は、 皇族の出ではありますが地理に明るくはありません。 邸宅は三条高倉にありますがこれも 異母弟である高倉帝に遠慮して移った だけでした。 以仁王が逃げる準備を終えてすぐのこと頼政が息子の仲綱を伴い寡兵で得た軍勢を引き連れて三条高倉にある以仁王の邸宅へ迎えに来ました。 頼政「以仁王様、逃げましょう。 京から逃げる事さえ出来ましたら また機会は訪れると思います。」 以仁王「そうだな、逃げよう。」 以仁王は源頼政、仲綱父子と共に、 逃げる事を決意し屋敷を出ました。 しかし… 平家の情報網は凄まじく… 清盛の義弟である時忠が京中に放っている間者により彼らの謀反はすぐ露見しました。
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