第16章 総大将の重圧と清盛怒髪天。

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第16章 総大将の重圧と清盛怒髪天。

さてさて頼朝が挙兵し鎌倉に入った事を聞き激昂したのはやはり平家の総帥清盛。 清盛「おのれ!あの時命を助けてやった恩を忘れよって!」 そして清盛はある男を呼び出します。 それが…。 今は亡き重盛の嫡男である平 維盛で ございます。 しかし…このお方はかなりの気弱で、 維盛「総帥、僕を呼びました?やはり 弟の資盛ですよね?僕なんか呼びませんよね?」 本当に気の毒な程、 気弱な方でございました。 父親である重盛にはあまり似ておりません。では…誰に似たんでしょう? 知りません。知りませんが恐らく 隔世遺伝かもしれませんね。 お父さんに似ずにお祖父ちゃんに似たとかお母さんに似ずにお祖母ちゃんに似たとか、そういう遺伝もあります。 まぁ…そんな事よりも…。 清盛「用があるから呼んだのだ。 資盛ならば資盛とちゃんと呼ぶわ。 儂を誰だと思うておる?爺扱いを するでないわ!」 気弱な維盛はいつもこのように、 清盛を無意味に怒らしてしまいました 西暦1180年は雨が全く降らず干ばつによる飢饉で京は慢性的な食糧不足でした。 平家は帝の親類である事も関係しており優先的に一族の食糧だけはありましたが… 平家の軍勢を動かすとなるとまた別。 軍勢用の食糧は尽きかけておりました。 清盛「勝つまでは欲しがってはならん!頼朝を完膚なきまでに叩き潰してから腹一杯食わしてやるわ。」 総帥、我慢が限界に達しているのか 最近無茶な命令が増えてきました。 維盛「えっ…無理。」 なんて言った日には、 烈火の如く怒り狂った清盛に、 この世の果てまでも追いかけ回され そうなので維盛は喉まで出かけた言葉を飲み込みました。 しかし清盛から託された軍勢は、 アクビをしながら歩く者やら、 気落ちした者やら態度は様々でしたが 皆に共通している事は、 やる気とか全然ありませんが、 総帥が「取り敢えず出ろ!」と言うから出るだけです。なんか文句ある? さすがに維盛のバックにいる清盛が 恐いので直接言う愚か者はおりませんが… 清盛の前ではまるで蛇に睨まれた蛙のように小さくなっていたのに維盛しかいなくなると途端に態度が尊大になる兵達なのでなかなか一筋縄ではいきません。 さてさて尊大な兵達は維盛を困らせまくり進軍に1月程を要しました。 維盛「あの…頼りないかもしれないけど僕の指示に従ってくれませんか…?」 注意の仕方までとても気弱な維盛に、 兵達はあきれ果てた顔をしていました。 太輔「大将さんよ、そんなんでどうする?こっちはろくな飯すら食ってないんだ。総帥みたいになれとは言わないがちっとは威厳を見せてくれよ!」 維盛「…!えっ…い、威厳。インゲン豆?」 これには維盛の補佐として付けられていた平 忠度(たいらのただのり)もあきれていました。 忠度「威厳だよ、威厳。維盛。 で、何で豆が出てくるの?」 平 忠度(たいらのただのり)…清盛の異母弟であり武人でありながら歌も嗜む。まさに文武両道という言葉は忠度のためにあるといっても過言ではない。 維盛「僕に威厳なんか求めないで。 総大将の重圧でもう既に潰れそうなのに…」 平 知度(たいらのとものり)… 清盛の7男だが維盛よりも自信満々で 自分を上に見ているためついつい他の者を見下してしまう癖がある。 知度「維盛、情けないな…。 それでも父上の孫かい?僕なら簡単に 捻り潰してくるけど…ね。」 維盛「なら、 知度さんが捻り潰してきてよ。」 実は知度、 維盛の叔父ではありますが年齢が 維盛より若いのです。 なので「叔父」と呼ばれるより名前に 「さん」付けを好んでいます。 自信満々過ぎる知度と、 自信が無さすぎる維盛。 両極端な性格の2人に挟まれて 忠度はまた頭を抱えるのでありました。 忠度「維盛…。知度独りで捻り潰せる 相手ではない。」 清盛は維盛には自信を持たせたいと思い知度にはもう少し他者を思いやれる人間になって貰いたいと思っています。 なので2人が成長出来るよう文武両道な忠度に補佐役を頼んだのでございます。 ちなみに…今回の彼らの相手は、 頼朝…ではなくこのお方です。
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