第16章 総大将の重圧と清盛怒髪天。

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武田 信義(たけだ のぶよし)…清和源氏の流れを汲む由緒正しき甲斐源氏の祖である。 ※ちなみにこの方、戦国時代に越後の龍と呼ばれるくらい戦が得意な上杉謙信と対等に渡り歩いた武田信玄の祖先です。※ なので…戦は巧いのです。 今は亡き以仁王から平家を追討せよとの令旨を受け取ったのは以下の3人。 源 頼朝(みなもとのよりとも)… 源氏の元頭領である義朝の嫡男で 産まれながらにして源氏の頭領である。 ただいま鎌倉から富士川に行軍中です。 頼朝「信義殿が、 何とかしてくれるであろう。」 面倒なのか他力本願なのかどちらかは 分かりませんがかなりゆっくり行軍しておりました。 源 義仲(みなもとのよしなか)… 源氏の元頭領である義朝の弟である義賢の嫡男だったが跡目争いの際、悪源太義平により目の前で父の命を奪われました。 義平に命じられ家臣が命を奪う算段で ございましたがその家臣には産まれたばかりの子どもがおりましたので幼子の命を奪う事など絶対に出来ませんでした。 なので家臣に連れられて義仲は木曽の山奥に身を隠したのでございます。ですから木曽義仲とも呼ばれます。 義仲「父上の敵である男の嫡男と共闘なんか出来るか!虫酸が走るわ。」 ※前述しました通り「虫酸が走る」とは非常に不快な事柄を指し示すので義仲にとっては親の仇である男の息子と一緒に戦うのが本当に嫌だと言うことですね。※ 義仲「嫌に決まっている。あいつは鎌倉殿などとぬかしているが俺にとっては野蛮な山賊などと質は変わらない。」 そして… 武田 信義(たけだ のぶよし)です。 武田 信義は富士川近くの領土を治める 言うなれば近所に住んでいる武人である。 信義「おいおい、地元の八百屋に勤めているおじちゃんみたいに言うなよ。」 信義は冗談好きで気さくな性格では ありますが戦になるととても強く まさに安定と信頼の信義でした。 平家がやんややんや言って行軍に 著しい遅れが出ている頃信義は駿河国に到着し目代を暗殺してしまいました。 信義「駿河国は源氏が抑えたぞ。 さて次なる攻めは如何する?」 と、軽やかな口調で呟いた信義は、 富士川へ向かいました。 そんなこんなしていると… 維盛「ちょっと…なんで…死んでるの?」 知度「誰かに暗殺されたんだろ?維盛が完全に嘗められているから出遅れて…そのせいで目代は死んだ。全部維盛のせいだ!」 忠度「辞めんか!2人とも、 誰かの責任ではなく3人全員の責任だ!知度、そなたはもう少し人を思いやらねばならぬ。」 そう、忠度の言う通りでございます。 どれだけ維盛を責めても元には戻りませんし維盛の精神が崩壊してしまいます。 只でさえ総大将という重圧に身が潰れてしまいそうなくらい苦しんでいるのですから 暗殺された目代を屋敷にある庭に穴を掘り埋めると3人は丁重に弔いました。 目代を弔った3人が屋敷から出ようと していると駿河国の民衆達がわんさか 集まってきました。 知度「なんだ?署名でもして欲しいか?」 相変わらず自意識過剰な知度は、 懐に入れていた紙に署名をすると近くにいた女性に渡しました。 女性は心の底から嫌な顔をしていました。それどころか本人の前でビリビリに破いてしまったのでございます。 知度「あ~!なにするんだ! 俺の署名が…!」 知度が怒りのあまりに女性に対して 掴み掛かろうとすると集まった民衆から石を大量に投げつけられてしまいました。 知度「痛い!痛い!やめろ~!痛い!」 自意識過剰で自尊心も高すぎる知度はここまで嫌われている事に絶望しました。 忠度「あれは知度が悪いぞ。嫌いな人間から署名なんか貰いたいか?」 あまりの悲しみとあまりの痛みに 馬に乗り全力疾走した知度を追いかけようと全力で走った忠度でしたが維盛を置いて来てしまいました。 維盛「痛い!痛い!痛い!」 痛いを連呼しながらも置いていかれた 兵士達を我が身を盾にして守る維盛に、兵士達は感涙の涙を流しました。 菊千代「維盛様を守れ!」 鳶丸「無論だ!」 維盛の身を呈した兵士達を守る作戦は、大成功でしたがもう既に兵は、 脱走に次ぐ脱走で2000しかいません。 しかし…行くしかありません。 兵士達に庇って貰いながら満身創痍の 総大将は知度達を探す事にしました。 民衆達は兵士達の士気が低い時は石を これでもかというほど投げていましたがこんなに士気が高くなっては返り討ちにあってしまいますので蜘蛛の子を散らすようにあっという間に逃げ出してしまいました。
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