第17章 清盛の死と倶利伽羅峠の戦い。

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第17章 清盛の死と倶利伽羅峠の戦い。

時は流れて 西暦1181年03月16日。 時に優しく時に厳しく、 時には恨みの感情に飲み込まれそうになっていた我が子を救ったと思ったら 時には父を喪い弱気になっていた孫を叱咤激励したり色々忙しかった清盛。 そんな清盛もとうとう… 清盛「あ、あつ、あつ、」 清盛は病床で悶え、 あまりの暑さに苦しんでいました。 知盛「父上、 しっかりして下さりませ!」 知盛が清盛の手を握ろうとすると 時子が激しい口調で止めました…。 時子「なりません! 火傷になりますよ!」 火傷どころか… 細胞が壊死する恐れもありました。 知盛「紬、父上を頼んだ。 僕は太郎と水を汲んでくるから。」 高千穂「父上、僕も行くよ。」 太郎「お祖父様と養母殿を頼む。」 清盛「あつ、あつ、、」 しばらく経ってから知盛達が湯桶に 並々と水を汲んで来ました。 しかし…。 ジュワ! 時子「熱い!」 水が一瞬で湯になってしまい清盛を 湯桶に入れた瞬間飛び散った湯で 腕を火傷してしまいました。 知度「養母殿、これに手を付けて。」 知度は小さな湯桶に水を入れて時子に 差し出しました。 時子「知度ありがとう。」 この様子を見ていた薬師の芳御前ですが首を横に振りました。 知盛「父上を治せないという事か?」 知盛の問いに芳御前は頷きました。 清盛はずっと踠き苦しんでいました。 何一つ出来ないまませめてと思い 何度も水をかけてやるのですが…。 ジュワ! 水は一瞬で沸騰するばかり…。 清盛「あつ、死ぬ、あつ、すぎ、死ぬ。」 時子「?」 清盛の言葉に時子は首を傾げましたが知盛が代わりに訳しました。 知盛「熱すぎて死にそうだって言いたいんですよね?父上。」 みんなあまりの熱さに離れていました。 水を清盛にかける度、 部屋中に充満する黒煙。 清盛の命は、 最早風前の灯火でございました。 清盛の病気については諸説ありますがこの作品では脳腫瘍という事で… 何故かと言いますと、 脳腫瘍ですと腫瘍熱が出ます。 それに清盛は2月末に頭が痛いと 訴えていたそうなので清盛の症状、 全てを鑑みますと「脳腫瘍」が妥当ではないかという結論にたどり着きました。 しかし病名が分かったとしても この時代は平安時代です。 治療に必要なものがあるかないかと 言われたらないのです。 清盛「あ、つ、し、ぬ、わ、しの、ため、をお、もう、ならよ、りと、もを、う、て、」 <訳>熱い、死ぬ、儂の為を思うなら 頼朝を討て。 熱で浮かされた清盛はうわ言のように何度も何度もこの言葉を繰り返していました。 清盛は苦しみは4日くらい続きまして 西暦1181年04月20日。 清盛は脳腫瘍により約60年の生涯を 閉じました。 清盛の死により三男である宗盛が、 跡継ぎに推挙されました。 宗盛「私が平家の総帥…。私が総帥。」 自分に酔ってるこの人は放っておいて…清盛が喜ぶのは葬儀より頼朝を討つ事。 なので…清盛の棺は、 平家の人達により葬儀はなしで 丁重に葬られました。 そして… 時子は清盛の死により出家して 二位の尼と名乗る事になりました。 さてさて… 汚名返上する機会が巡り来たのは、 富士川の戦いで水鳥の羽音により スタコラサッサと逃げ出してしまった どこまでも気弱な総大将。 維盛「…、ぼ、僕、僕が義仲を討つ? で、出来るかな?」 実は維盛の相手は頼朝ではなく、 平宗盛「木曽の山猿なら余裕だろ?」 義仲「誰が木曽の山猿だ!? 俺の名前はよ・し・な・か!だ!」 源〈もしくは木曽〉義仲でした。 しかし… 相手は源 義仲でございます。 幼い頃に武蔵国を治めていた父親の 義賢(よしかた)を頼朝の父親である 義朝の命を受けた長子・悪源太義平に 殺され武蔵国も奪われてしまいました。 自身も命を奪われかけましたが最終的に義平の命を受けた家臣により木曽まで逃亡する事が出来ました。 義仲にとっては平家と同じくらい 憎い敵である義朝の嫡男である頼朝。 『平家を滅ぼしたら絶対に頼朝を滅ぼす!』 義仲の決意は固く義仲は物心ついた時から軍記物を読んだり孫子の兵法を学んだりしていました。 それに乳母子である今井兼平と共に 鍛練も欠かした事などありませんでした。 さて…相手は少数と言えど軍略家で 武芸にも秀でています。 そんな男に…。 維盛「僕、自信ないよ…。」 気弱な総大将ではきっと… 知盛「無理だな、勝てないだろう。 相手は幼子で従兄に殺されかけたくらい修羅場を経験している男だ。勝てるはず…ないだろう…。」 宗盛「私が総帥だぞ?私の意見に逆らう事は許さない!」 宗盛は清盛の死により人が変わって しまいました。 立派な総帥になりたいと気負い過ぎて いたのかもしれません。 人の意見を聞かなくなったのは、 問題ではありますが…何故なら知盛は、重衡と並ぶ戦巧者(せんくしゃ)でありますから経験に基づき助言をしているというのに…
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