第17章 清盛の死と倶利伽羅峠の戦い。

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義仲「まず、俺が20000の兵を率いて 日宮林に陣を敷き兼平が用意した大量の旗を使って平家軍に義仲軍は大軍だと錯覚させる。」 兼光「義仲軍は大軍だと錯覚した平家は猿ヶ馬場で様子見をして野営をする。」 兼平「平家軍の総大将はかなり臆病な性格だからその作戦は成功するとして…。」 義仲「兼光、そなたは巴と共に猿ヶ馬場を迂回して平家の背後へ回れ。俺は正面。」 兼平「俺はどうするんです?」 義仲「俺の補佐をして貰おうか? まぁ何せ相手は混乱状態になるから 余裕で勝てるだろう…。 では、手筈通りに皆、頼んだぞ!」 兼光・兼平・巴「はっ!」 維盛「占いによると僕、運勢かなり悪いって…やはり義仲を討つなんて僕には無理…絶対に無理!」 維盛の家臣・平是政 「維盛様、占いばかりなされている場合ではありませんぞ。」 猿ヶ馬場に到着した維盛は、 相変わらず気の弱い総大将。 「占い」、「うらない」、「ウラナイ」 占いばかりに集中しておりまして 戦の事なんか二の次、三の次。 維盛の家臣・朱鷺 「維盛様、大変です。」 維盛の家臣が異変を察知して維盛の元へ駆け寄って来ました。 維盛「何事ですか? 僕は占いをしなくてはなりません。」 家臣は何も言わず指を指しました。 そこには日宮林という場所である事は、維盛も把握していましたが…。 維盛「なんだと!」 維盛が驚くのも無理はありません。 日宮林に敷かれた義仲の陣では、 大量の白旗が掲げられていました。 義仲「掛かったみたいだな。」 実は維盛に報告をした人間は義仲から 命じられ動向を探っていた間者。 間者(かんじゃ)…スパイのこと。 維盛は義仲の陣をもう1回見直し、 再度確認したらやはり大量の白旗が…。 維盛「こ、これは…全軍待機!」 維盛がもし作戦に嵌まらずイケイケドンドンな武将でしたら今回の作戦は無理でした。 例えば重衡とか知盛みたいな勇猛果敢な武将ならば…。 「もしも…こうだったならば…」とかいう「たられば」な話をしても仕方ありませんので話を元に戻す事に致します。 義仲の作戦にまんまとはまり 野営する事になった平家軍。 義仲「よし!作戦通りだ!」 天は二物を与えず《てんはにぶつをあたえず》…とはよく言ったものでございます。 維盛はとても美形ですので宮中でもよくチヤホヤされており取り巻きもたくさんおりました。 取り巻き《とりまき》…現代でいうファン。 しかし… 戦のセンスなどは皆無なのでいつも清盛からは叱咤激励を受けておりました。 その代わりに舞や蹴鞠などは得意で あんなに容姿端麗な人間が舞などをしたら「キャアキャア」と取り巻きの女官達が騒ぐ、さわぐ、サワグ。 しかし… 殿上人としての技量がいくらあっても 平家は武門でこざいます。 戦のセンスがない維盛が跡を継ぐのは、はっきり言って絶望的でございました。 そして夜、 事態は急変してしまいます。 維盛達が野営地である猿ヶ馬場で 寝静まっている頃、 維盛の家臣・朱鷺 「維盛様、敵襲ですぞ!」 さすがは間者でございます。 義仲からの命を受けた巴らが十分近づいて来てから全軍を叩き起こした後、 (つる)「大軍が攻めてきたぞ!」 内情を知り尽くしているはずの間者だからこそ平家軍を大混乱に陥らせるためにわざと大きな声で叫び皆の不安を煽りました。 そのせいで思惑通りに維盛の軍勢は、 大パニックでございます。 兼光「我こそは義仲様の重臣・樋口兼光!」 巴「我こそは義仲様の妾・巴!」 平家軍の兵士・朱鷺「出たー!」 平家軍の兵士・靎「逃げるぞ!」 もう…本当に大混乱でございまして 間者はこの隙に逃げ出し義仲の元へ 無事に帰り着きました。 義仲「さすがは間者。頼りになるの。」 義仲はご満悦でございましたが正面から義仲軍、後ろから樋口兼光、巴軍が 迫って来ていましたので…。 平家軍は我先に飛び降りて皆、 黄泉国へ逝ってしまい維盛はほとんどの兵を喪い京まで這う這うの(ほうほうのてい)で何とか命拾いしましたが…。 宗盛「…愚か者が!義仲に付け入る隙を与えて何とする!この大馬鹿!」 知盛「さすがに荷が重かったのでは?」 宗盛「知盛は甘やかしすぎじゃ!」
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