第18章 平家の都落ちと規律。

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義仲「牛車とはどう乗る?」 義仲はなんと牛車の乗り方が分からず 牛に飛び乗りました。 もぉ~! これには牛が激昂し義仲は…、 義仲「ぎゃあ~!」 落馬ならぬ落牛してしまい激しくお尻を打ってしまいました。 総大将がこれですから兵達もやりたい放題好き放題。 義仲軍兵士・ 十六夜「姉ちゃん、可愛いね。 はい、もう俺のもんだ!」 知名(ちな)「私には夫がいるのよ!」 十六夜「知るか!そんなもん!」 知名「あれ~!」 こうして好みの女人がいると夫がいようと子がいようと構わずに連れ去り無理矢理妻にしてしまったのでございます。 こんな事は日常的によく起こっており義仲軍の兵達の近くには… 「シクシクシク…。」 子と夫から無理矢理引き離されてすすり泣く女性達の泣き声が聞こえ続けていました。 しかし… それは彼らに通じる事はなく、 十六夜「そうか…。 俺の妻になれて泣くほど嬉しいか?」 と、自らの陣営がこんな状態だったにも関わらず義仲は内裏に足繁く通っては…。 義仲「たのもーう!征夷大将軍にせよ!」 下品極まりない態度で院に接するものですから院の近臣が激昂するのも当たり前です。 院の近臣・藤原如成「そのように下品な方を征夷大将軍にせよなど片腹痛いですな。それに…近頃京ではそなたのような下品な兵士達が人妻らを連れ去る事件が横行しておるとか…。全く兵士達を束ねる事も出来ないお方が全ての武士を束ねる事など到底無理ですな。」 また断られてしまった義仲は、 失意のまま内裏を後にしました。 すると…。 民衆の男性・仙寿「妻を…みどりを帰せ!」 民衆の男性・満珠「ともを帰してくれ!」 この男性達以外にもたくさんの男性達が妻を取り戻そうと義仲の前に現れ 立ちはだかりました。 義仲「通せ!通してくれ!」 仙寿「妻を帰すと言うまで通せぬ。」 満珠「そうだ!そうだ!」 義仲「知るか、そんなもん。 俺を誰だと思っている。押し通ってやる!」 義仲は峰打ちで彼らの気を失わせると急いで陣営に帰って来ました。 すると…。 知名「シクシクシク…。 夫の元へ帰して下さりませ。」 みどり「夫が恋しいのでございます。」 とも「夫の元に帰りたいのです。」 今度は女性達 みんなが訴えてきました。 義仲「そんなこと、俺が知るか!」 義仲は自らの陣幕へと逃げ込みました。 京でのしきたりが全く分からぬ総大将 並びに好き放題振る舞う兵士達により 義仲軍の評価はまるで坂道を転がり落ちるようにただ下がりとなってしまいました。 人さらい以外には、 義仲軍の兵士・連珠「おっ…。これは金になりそうだな。さらってきた女人に着物でもこしらえてやろう…。」 盗み…。 義仲軍の兵士・理成「おい!身ぐるみはがされる前に金とそこの姉ちゃん、置いていけ!」 強盗…。 悪い事は全てやってしまったような義仲軍。 しかし…。 この男は懲りもせず内裏を訪ね、 「公家にしてくれ! それがダメなら征夷大将軍だ!」 内裏の中で叫び倒し無論内裏にいる 公家達は冷めた目で義仲を見ていました。 公家・吉田俊丸「はしたない、あのような野蛮人にはなりたくないですな。」 公家・藤原泰典「図々しい。厚顔無恥とはまさにあの男の事でございまするな。」 さてさて好き放題振るっている義仲は 一旦放っておきまして後白河院は近臣 達と協議をしていました。 後白河院「平 頼盛ら家族の処分如何する?」 吉田経房「院、我らを頼りにしてきた方々を処罰してはなりませぬ。それにあの方は一族でしたから行動を共にしていたに過ぎませぬ。その結果として都落ちに同行しておりません。」 吉田 経房(よしだ つねふさ)…維盛の正室だった小夜を側室として迎えた院の近臣。 協議に参加していた公家全員 「そうですよ!」 後白河院「そうだな…。しかしあの山猿が処罰なしでは納得せんだろうな。」 全員「そうですね…。」 山猿(やまざる)…木曽義仲を揶揄した呼び方であり京に住んでいる人間がよく口にしている呼び名である。 結局頼盛は西暦1183年08月06日に、 息子らと共に官位を剥奪されてしまい 正室である朝子だけは八条院の意向により出仕を許されました。 朝子「申し訳ありませぬ、八条院様。」 八条院「朝子、そなたには今までもこれからも私に仕えて欲しいのです。」
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