第19章 孤立無援な義仲の死

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使者は同盟を断られ トボトボと義仲の元へ帰って来ました。 使者「やはり断られました。倶利伽羅峠の戦いの際に我が軍を完膚なきまでに叩きのめしたのは誰だ?と…。」 義仲「…先に戦を仕掛けたのはあちらだ!」 巴「仕方ありませぬ。 それは事実ですからね。」 兼平「だから兼光が無理かもしれませんと申したではありませんか?」 日付は西暦1184年01月11日。 範頼は乗り気なのですが義経は… 義経「えー、京に行ってすぐ戦?」 京に行けば「静」や「朋子」という お気に入りの舞妓よりも芸達者な舞妓に逢えるかもしれないと意気揚々だった反面幾ら戦好きとは言えど気が乗らない様子。 範頼「義仲を倒さばすぐ 舞妓を呼んでやるから機嫌を直せ。」 範頼が渋々ながら提案すると義経の目がランランと輝きました。 義経「兄上、さっさと行きましょう。 それでさっさと義仲成敗しましょう。」 嬉しそうに馬を急がせ京へと向かう義経の後ろを範頼は懸命に追いかけるのでした。 範頼「ちょっと…ちょっと…待ってくれ。」 範頼の言葉に満足した義経が後ろから 懸命に付いていく範頼の事など全く気にせず意気揚々と京へ向かっている頃、 義仲はまたやらかしてしまいます。 今度は何をやらかしたかと言いますと…。 後白河院「いま、なんと申した?」 後白河院が幽閉されている先の摂政・ 近衛基通のお屋敷から後白河院の困惑した声が聞こえてきました。 と、いうのも…。 義仲「ですから…俺を征夷大将軍に 任じて下され。さもなければ北陸まで 貴方を連れ去る事も出来るんですよ? 貴方さえおられれば破天荒な義経も 真面目な範頼に注意されて手出し 出来ませんから。治天の君たる方が 政の中枢である京から離れられませんよね?」 後白河院「ぐぬぬ。」 後白河院はあまりに横暴な義仲の態度に怒りを覚えましたが逆らえば文字通り北陸へと連れ去られてしまいます。 後白河院『滋子との思い出が 御所を離れたくはない…。それに、 義仲が居なくなれば御所には戻れるし…。』 今は幽閉状態ではありますが、 義仲さえ居なくなれば今は亡き建春門院と共に過ごした御所に戻る事も可能でございます。 しかし… 後白河院『義仲の言う事を聞くのは、 癪に障るし…こんな粗暴な奴に全武士の頂点である征夷大将軍なんか勤まるはずもないし…。』 後白河院も義仲の言うことを聞くのはかなりの抵抗がありました。 征夷大将軍は武士の頂点です。 なのに…。自らの想いを貫くためなら どんな手も平気で使う男を任命する訳には… でも聞かねば… 後白河院『京にいても寒いのに北陸など寒すぎて私の寿命が幾らあっても足りん。』 実は後白河院… 寒いのがとても苦手なので いつも寒い日は御簾をしっかり閉じて いるのです。 しかし… それでもガタガタブルブル震えてしまう程。 そんな方が北陸などに無理矢理連れて 行かれてしまえば…。 後白河院『無理、無理、無理、絶対無理!』 考えるだけでも震えが止まりませんでした。 なので後白河院は大変不本意ながら 後白河院「源義仲、 そなたを征夷大将軍に任ずる。」 基通「…院!」 義仲「…なんか文句でもあるのか?」 基通の不服そうな言葉に義仲は、 不機嫌な顔になり鞘に手を持ってきたので、 後白河院「何も文句はないよな?」 後白河院は基通まで命を奪われぬよう 庇いました。後白河院の必死な形相に 基通は何度も頷きました。 義仲「それなら良い。よし! 征夷大将軍だ。」 こうして義仲は院を脅迫するという大罪を犯してまで念願の征夷大将軍となりました。
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