第20章 平家の意地、見せるは今ぞ。

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第20章 平家の意地、見せるは今ぞ。

頼朝達が源氏対源氏で戦をしている最中でしたので源氏から戦を仕掛けられる事がなかったので平家に久方ぶりに訪れた心安らぐ一時でございました。 亜樹「紬様、佐武郎様はお預かりしますね。たまには御夫婦水入らずでお過ごし下さい。何時何時戦になるかわかりませんから。」 みつに代わり新たに紬達の侍女となった亜樹が佐武郎を抱いて一ノ谷で知盛達の住んでいる場所へ向かいました。 紬「知盛様。」 亜樹達が見えなくなってから紬は知盛の背にしがみつきました。 知盛「どうした?紬。嬉しいけど後ろだと君の顔が見えないからちょっと離してくれる?」 紬が知盛に言われた通りに手を離すと 知盛は紬の前に来て額にそっと口づけをしました。 紬「…!」 紬は嬉しいやら恥ずかしいやらで 耳まで真っ赤になってしまいました。 知盛「紬、愛しているよ。心から。」 しかし… 義仲を討伐してすぐ 頼朝は義経に命じました。 それは… 頼朝「行け!平家を討伐せよ!」 義経「舞妓達との約束があるのに…。」 範頼「諦めよ、義経。」 義経は涙を飲み家臣である佐藤継信は八つ当たりを恐れていました。 継信「義経様、 八つ当たりは勘弁ですよ?」 義経「フン!」 西暦1184年02月07日 ものすごく御機嫌の悪い義経は、 真面目な範頼と違う道を選びました。 義経「名づけて挟み撃ち大作戦!」 義経は名づけが得意ではありませんでしたが八つ当たりを恐れる弁慶と継信は、 弁慶「さすがは義経殿!」 義経「そうだろ?」 継信「さすがは頼朝様の弟君!」 義経「僕はあの人の腰巾着じゃない!」 継信もまた誉めるのが苦手でございました。 弁慶が『馬鹿だね~。』とでも言いたそうに苦笑いをしていました。 なので継信も苦笑いを返しました。 弁慶によいしょされて少し機嫌が直りましたが誉めるのが苦手な継信のせいでまた再び機嫌悪くなってしまいました。 それにしても… 継信と弁慶は…。 継信「本当にここを通るのですか?」 義経「なんか文句あるか…?」 弁慶「いいえ、なんでも…。」 義経は断崖絶壁の前で 得意気に笑っていました。 継信『俺…高い所苦手なんだけど…。』 また義経の機嫌を損ねる訳にはいかず 継信は目線だけで語り弁慶も…。 弁慶『俺も…だ。』 なので… ここは弁慶が言う事にしました。 弁慶「義経様、ここは…無理なんでは…?」 義経は弁慶を睨むとやはり不機嫌になり、 義経「なら、どうするのさ?」と… 家臣に丸投げし始めました。 義経「君達に僕みたいな考え、浮かぶ?」 義経が不機嫌になっている頃、 知盛の居住スペースに宗盛が清宗を 連れて来ました。 宗盛「知盛、もしかしたら 義経が攻めて来るかも知れん。」 知盛「兄上、また話が飛んでますぞ。 結論から言われても困りますな。」 宗盛は昔からこのような所がありましてよく母親である二位尼に注意されていました。 宗盛「母上にもよく言われたな。では結論から言わずに序幕から話すか?」 これには知盛が突っ込む前に宗盛の息子である清宗が突っ込みました。 清宗「父上、舞台ではないのですから序幕とは言わないのです。話のあらすじです。」 宗盛「細かい事を指摘するのは、 清子に似てきたな。」 宗盛は病で逝ってしまった 最愛の正室である清子を思い出したようで寂しげに笑いました。 紬「義兄上様、本題に戻りましょう? それでどうして義経が攻めて来るのです。」 このままでは埒が開かないと判断した紬は思いきって話を本題に戻しました。 宗盛「ああ、そうだった…。 義仲が討伐された事で源氏対源氏が 源氏対平家になったんだよな。」 しかし…宗盛の説明は何が言いたいんだかさっぱり分かりませんでした。 紬「???」 知盛「兄上は昔から説明が苦手なんだ。つまり万が一義経が攻めてきた時に僕が総大将を勤めて奴を追い払えって事ですよね?」 宗盛「そう言う事だ。さすが私の弟。 私の躾が良いからだ。」 一同「溜め息。」 宗盛「お前達、なんで溜め息のタイミングまで同じなんだ?もう良い!行くぞ。清宗!」 機嫌が良くなったり悪くなったり コロコロと態度が変わる困った宗盛に 振り回されながらも…。 知盛「紬、どうした?」 隣で不安げにうつ向く紬の表情が変わった事を瞬時に気づける優しき夫。 紬「義経は手段を選ばないと聞きます。知盛さんは正攻法ですから心配です。同じ正攻法なら義経なんかに 敗けはしませんが…。」 知盛「案ずる事はない。あのような断崖絶壁から来る事は出来ないだろう…。」
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