第2章 婚約内定

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それから更に1年の時が経った 1168年正月2日の事になるのですが、 聖は18歳となり、 知盛は16歳になっておりました。 逢えなくなって2年が経ちましたが いつかは一緒になれると想っていた 2人でした。 しかし… 運命は2人に残酷な結末を 迎えさせてしまいました。 知盛「忙しい、忙しい、忙しい。」 この日は正月も2日となり、 宮中では新年を祝う行事を開催するので殿上人達がその支度をするべく 東奔西走しておりました。 勿論、知盛も朝から大忙しでした。 時子「知盛、法皇様がお呼びよ。」   知盛の手伝いをしているのか、  それとも逆に邪魔をしているのか 定かでない時子も近くにおりました。     知盛「先程お伺いした時には ただ…呼んでみただけだと仰ってましたよ?」 時子「法皇様の気まぐれにも困ったものではあるけれどもう1人困った者がいるのだけれど…」 時子が頭を抱える程の困り者とは… 宗盛「母上、もしやそれは私ですか?」 自覚すらもないようで時子は、 何も言わず踵を返し向こうへさっさと移動してしまいました。 知盛「兄上、明日は法皇様主催の蹴鞠大会がありますのに今まで練習していて明日は大事ないのですか?」 宗盛は明日、知盛が言った通り 蹴鞠大会に呼ばれております…。   しかし… 宗盛「大事あるのでこんな時までお祖父様から猛特訓を受けておるのだ。」 全く出来ない宗盛はこんな時まで 師範代である時信から猛特訓を受けていたのでございます。 時信「こんな時まで猛特訓を受けるのはそなたに集中力がないからじゃ…」 元々集中力があまりない宗盛は、 気持ちがすぐそぞろになってしまい その都度、時信から叱られますが… 宗盛「蹴鞠は好きではありませぬ。」 蹴鞠は好きではない為 すぐ集中が切れてしまいます。 時信「そなたは幼子か?そんな言い訳が通用するのは幼子までじゃ…」 時信をいつも怒らせてしまう宗盛に 対して知盛は忙しさのあまり早口になりながらも… 知盛「兄上こそさっさと習得して下され。今は唐猫の手も借りたいくらい忙しいのですから…。」 高倉帝が寵愛している唐猫に視線を送っていました。   宗盛「知盛、忙しい割に余裕だな…」 知盛の冗談に振り回された唐猫の三毛は冗談じゃないと言わんばかりに…   にゃぁ~!! 1回だけ鳴き声を上げると主である 高倉帝の元へ駆け出しました。 高倉帝「三毛、如何した?」 唐猫の三毛を優しく抱きしめ撫でる高倉帝の姿を御簾の外から熱く見つめる女性達はうっとりしていました。 宗盛「陛下はモテるのに… どうして私はモテないのだろうか?」 時信「宗盛、陛下とそなたを比べるなど無礼極まりないぞ。」 時信に叱られた宗盛は蹴鞠の特訓よりか雑務をこなす方がまだ楽だと考えたようで… 宗盛「知盛が大変そうなので、 早く終わらせて知盛を手伝います。」 知盛を助けるという名目で特訓から逃げようとしたのですがそこは宗盛の祖父である時信、 時信「逃げてはならん!そんな事だから女性から声が掛からぬのだ。」 宗盛「う…。」 そんな宗盛は時信から痛いところを突かれたためその場で蹲り黙り込んでしまいました。 時信「さて、宗盛。気合いと根性で蹴鞠を習得しなければならぬぞ。」 宗盛が蹴鞠の稽古から逃げだそうとした為それからもしばらく地獄の蹴鞠特訓が続いたのは言うまでもなく… 時信「気合いと根性だ!」 時信が意味の良く似た言葉を何度も宗盛に投げ掛けているその横で知盛は、 知盛「忙しい…忙しい…。 そして忙しい。」 山盛りてんこ盛りの雑務を ブツブツ言いながらも熟しており… 椿「知盛はん、素敵やわ…」 知盛を気に入る女官が更に増えていたのですが本人はそれどころでなく…
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