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しばらくすると、第四皇子、第五皇子が現れ、俺たちとは正反対の位置に立つ。
今この場に居る皇族は、皇帝と皇太子、第四皇子と第五皇子。そして俺だ。
戦闘狂で脳筋な第二皇子が遅れて来るのはいつもの事だが――
もう公爵が来る時間に差し掛かっている。
皇帝に発言権など与えられていないので、極力話したくないが皇太子に尋ねる。
「皇太子殿下。第二皇子殿下はどちらにいらっしゃるのでしょうか?」
「皇太子殿下じゃなくて、兄上と呼びなよ」
「皇太子殿下」
「兄上」
何度もしつこく訂正してくる皇太子に、思わず眉間に皺が寄る。
以前から呼び方にこだわっている様子が見られたが、いい加減にして欲しい。
第三皇子が、次期皇帝である皇太子に逆らえるはずも無いので、諦めてため息を着く。
「教えてください、兄上」
「うん、よく出来たね」
「っ・・・」
不意に皇太子に頭を撫でられて、ビクリと身体が震える。
――俺は・・・あの時とは違う。失うものは何も無い。大丈夫だ。
髪の毛を弄ったり、頭を撫でたりを繰り返して満足したのか、皇太子は第二皇子について教えてくれた。
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