一章

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14  しばらくすると、第四皇子、第五皇子が現れ、俺たちとは正反対の位置に立つ。  今この場に居る皇族は、皇帝と皇太子、第四皇子と第五皇子。そして俺だ。  戦闘狂で脳筋な第二皇子が遅れて来るのはいつもの事だが――  もう公爵が来る時間に差し掛かっている。  皇帝に発言権など与えられていないので、極力話したくないが皇太子に尋ねる。 「皇太子殿下。第二皇子殿下はどちらにいらっしゃるのでしょうか?」 「皇太子殿下じゃなくて、兄上と呼びなよ」 「皇太子殿下」 「兄上」  何度もしつこく訂正してくる皇太子に、思わず眉間に皺が寄る。  以前から呼び方にこだわっている様子が見られたが、いい加減にして欲しい。  第三皇子が、次期皇帝である皇太子に逆らえるはずも無いので、諦めてため息を着く。 「教えてください、兄上」 「うん、よく出来たね」 「っ・・・」  不意に皇太子に頭を撫でられて、ビクリと身体が震える。  ――俺は・・・あの時とは違う。失うものは何も無い。大丈夫だ。  髪の毛を弄ったり、頭を撫でたりを繰り返して満足したのか、皇太子は第二皇子について教えてくれた。
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