一章

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三話  この世界に生を受けてから、早十五年。  最初は現実離れしてると思っていたが、今ではこれが俺にとっての現実なのだと、思い知らされた。  俺には生まれた時から前世の記憶があった。  生まれたその瞬間、目に飛び込んでき紋章と、周囲の人が俺を『第三皇子殿下』と、そう呼んだその瞬間――俺のこの先の人生は真っ暗なのだと理解した。  ハイデルト帝国。前世で読んでいた小説に出てくる、所謂悪役に当たる存在。    帝国の紋章は、女性が杖を掲げ、その周囲に四人の英雄が跪く姿が特徴だ。  この紋章は、帝国を建国した、大魔術師であった初代皇帝と、その仲間であった四人の英雄の姿である。  四人の英雄は、それぞれ帝国の四方の領土を治めており、四大公爵と呼ばれている。  そして、大魔術師の子孫である皇族は、代々膨大な魔力と魔法の才を持って生まれる。  人間には過ぎた魔力は、時に肉体に、人格にも影響を与え、ハイデルト帝国の皇族には、残虐な者が多く生まれた。
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