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一見するとどこにでもある一般的なママチャリ。
別にオソロにしたつもりもなければ、同じ店舗で買ったわけでもないけど、外観は俺のとほぼ同じアルミの銀色と黒二色のシンプルな自転車。
じゃあどこで判断したのかというと、海紀の自転車には普通必ず付いているはずのリングロックが無い。無いと言うか、ぶっ壊れたと言うか、ぶっ壊したと言うか……いや、今それはどうでもいい。
なんで今ここに海紀の自転車があるのかが問題だ。
「一応確認だけど、実はここ置きっぱにしてたってオチではないよな?」
「あのさあ、それだったら私こんなに驚いてるわけなくない?」
「いや、お前なら置いたまま忘れてる可能性十分ある」
「しっつれいな!あんたこそ小六の夏祭りでチャリの場所忘れて探し回ったこと忘れてないでしょうね!?」
「勿論。探したのはお前のチャリだけどな」
「……あれ、そだっけ?」
やっぱり忘れてるだけじゃん。と、一瞬片付けそうになったものの、それだと一つ大きな疑問が生じる。
——あの駅まではどうやって行ったのか。自転車がここにある時点で、ここからは徒歩で行ったことになる。わざわざ最寄駅まで歩いて電車に乗ったってのも変な話だし。
というか、あそこへは何をしに行ってたんだっけ……あれ?よくよく考えたら聞いてないぞ?
「話変わるけど、お前あそこには——」
「なに独りで喋ってんの?」
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