ごり押ししてみた

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ごり押ししてみた

 それで、何だ貴様は?  理事は激おこだった。 「アカデミー内で窃盗事件が起こっているのは知っている。だが、その犯人を捜す許可を出した覚えがないぞ?ゴミはゴミらしくしておけばいいのに」 「返答して、よろしいでしょうか?」  俺はそう言った。 「やってみろ。ゴミめ」 「高名にして偉大なるジャバ――理事様に申し上げます。呼吸をすることを禁じる。と、書かれていましたね?指示書には」  高名にして偉大なる男といえば、ジャバ様だってエビルが言ってたもんで、つい。  うん?しかしそれは、遠回しに死ねと言っただけで。グロウシュラーはそう思っていた。 「ハイランクのお方らしい修辞ですが、額面通りに受け取りましたよ?劣等のブロンズなもので」 「だったらどうだというのだ?!」 「ええ。ですから、呼吸はしていませんよ?先ほどからずっと」  ――何? 「呼吸とは、吸引した空気から酸素を取り出し、しかるのちに肺を通して血液と結合します。ヘモグロビンと結合した酸素は、肺から二酸化炭素と少量の水蒸気と共に、外に排出されます。呼気とよばれるものを、常に我々は吐き続けているのです。つまり」  そこで俺は、思いっきりドヤ顔して言った。 「呼気出さなきゃ呼吸とは言えんでしょう?呼吸してませんが、何か?」  このゴミ以下の廃棄物が!  激高しようとした時、 「水中活動魔法ね?既に使い手が消滅した古代魔法の類いね?それを復元したのは、流石ね」  あれ?ああ校長、いたの?  ブレスレス・ラングの欠点。空気の膜作って活動するが、匂いもシャットアウトされてしまう。  ババアが来れば、もっと早く気づくはずなんだが。 「ジョナサン・エルネスト、タルカス・シーボルト。両名の、女子寮への入室を許可するわ」  そう言って、ババアは去って行った。 
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