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タルカスが惚れた相手
すっかりパン泥扱いされることになった。
まあ、これが普通の光景だよな?っていうか、針の筵になる覚えもないんだが。
「よう、パン泥勇者」
「おはよう。共犯者」
結局、世論ていうか学校の声は、俺はパン泥の勇者だろうって空気が出来上がっていて、女子更衣室の扉は厳重に閉ざされ、自警組織が設立され、一挙手一投足を監視されるハメになった。
まあ実際、神聖教団の旧約の聖典には、箱に希望を見出した、パンドラという女のことが書かれていて、俺が開いた箱の底に、校長のパンツという希望が1枚ヒラヒラしてたって話で、無事俺はパン泥の勇者ってことに、おい!
可哀相なのは、盗んですらいないのに共犯者扱いされていた、タルカスだった気がしないでもなかった。
「っていうかよ、何故か俺まで、「校長のパンツ持って来い」とかプラチナ共に言われてんだぞ?大体、フロントオープン?なパンツって、どんな奴だ?」
「そりゃああれだよ。ダブリンとかでしか売ってない奴で、パンツなのにニャンニャンちゃんがパックリ見えちゃってる奴だ。変態御用達のパンツだよ」
「ほう!そうかあ!流石盗んだ奴は違うなあ?!」
「ってことはあれだ。同室のお前も同じような罪を背負ってるって話じゃないか?親友」
「よし!死んどけお前は!」
オープンでフレンドリーに語ってくれたのは嬉しいんだが、今この状況でババアのパンツ談義されてると、ああ駄目だ。
めっちゃプラチナ女子の自警組織、「パンツの守護者」が見てるよ。
ああー、初年級で4人ばっかし妊娠して退学したの、俺がチクったって変な噂がさ。
恨まれてんだろうなあ。プラチナ女子に。教員のドリゴール・ボリバルとかドルイット・マクベスとかかな?父親は。
ただ、このまま不名誉な噂が一人歩きしていると、行き着く先は俺投獄だよなあ。
パン泥で入獄?ふざけんなよマジで。
あー。入学前に、ババアに襲われかけた悪夢が。
押し倒されて、顔面にババアのニャンニャンちゃん擦りつけられたんだよな?
ああ、そん時履いてたのが、消えたババアのオープンフロントな奴で。
ほぼ履いてない隠してないって塩梅だったよね?それだと。
ところで、俺は口を押さえられて机に引き込まれるところだった。
「おい。タルカスむご!」
「うるせえ!犬っころ!」
声を出さずに叫んでいた。
あああ。エウリアデかあ。
プラチナ女子の1人、エウリアデ・キプロスと、ルーシー・スパルタカスの入場か。
確かに、エウリアデは美醜で言えば、どんなプラチナすら敵わない。
でも、こないだ見ちゃったんだよなあ。エウリアデが、素っ裸でルーシーと野外プレイしてたの。寮の外で。
そんなことしちゃってる奴が、パンツの守護者の一員になってるって、一体。
タルカスの好みのタイプが、こう言う王子系の美人なんだよな。
あれ?エウリアデが、俺に、一瞬視線を向けた?
タルカスは、ずっとエウリアデの背中をじーっと見つめていた。
気のいいちょいグレ小僧の恋かあ。どうしよう?どうフォローしようか?
だってさ、前に、エウリアデがユリだって、タルカスには言ってあったしな。校長も。
あれ?タルカス、お前。
俺は、少し釈然としなかった。
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