変態のいる理事会

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変態のいる理事会

 その日、校長を含めた理事会メンバーが、アカデミーの運営に関する会議を開いていたという。 「やはり、校長、あのブロンズの少年の放校を、お認めにならないのですな?」  口火を切ったのは、ディオグラード・オッテンドルフだった。 「あの子を放校にしたら、自宅に帰る前に異端者として始末されてしまうわ。アカデミーの校長として、ん♡彼を守る義務が私にはある」  何だか、校長は落ち着きがなかった。  会議が無言になった時、どこからかヴィーンという、振動音が聞こえていた。  むっつり黙ったオッテンドルフの奥の机の上で、校長をじっと見つめている、老年の理事の姿があった。  会議が終わった時、その理事が、オッテンドルフに声を掛けていた。 「ディオグラード君。昨今、例の劣等が、校長の私物を漁っているという話だが、聞いていたかね?」  その理事の名前は、フンボルト・グロウシュラーだった。 「グロウシュラー理事。ええ、いずれあの劣等を、窃盗の容疑で収監する予定でしてね?」  前々から思っていたのだ。初年級の論文で、伝説の魔王を善人のように扱い、当時の貴族階級を卑下するような論文を書いたのだ。  普通なら、即投獄されてしかるべきであったのに、何故か、校長、ルルド・リュミエールが劣等を庇ったのだった。 「所詮は最底辺の劣等ではないか。あんな物はどうにでもなる。それよりもだ。今回の件だけは、儂に任せてくれまいか?」  ああ。この老年、未だにあの石女(うまずめ)にご執心であるようだ。  幾ら抱いたとて、あの女は子をなすことがない。  総帥が、130年前に実証した通りなのだった。  今更あんな女に。 「ならばよいでしょう。貴方にお任せします。劣等の排除を含めて」  任せてみようか。所詮は古株の老害。そう言えば、こいつの金庫に不自然な出金が。  まさか、こいつ、あの女の足を通したものを?  尚更近付きたくはないな。 「ああ理事、私は、しばし出張いたしますので、あとはよしなに」  オッテンドルフは去って行った。  ふん。若造が賢しらに、裏で動く気か。  フンボルト・グロウシュラーは、しかし異常な勃起衝動に襲われていた。  ノックがあって、入ってきた生徒に、 「ああお前!何故、ルルドの下着を市場に流すのだ?!そして、次のオークションはいつだ?!」 「連合の重鎮にあらせられる理事ですよ?金は無尽蔵にお持ちでは?それから、オークションは明後日です。奮って御散財ください。理事。校長のパンツはまだまだございますので」 「そうか!ならば今後も頼むぞ?!儂の怪盗娘よ!」  御意。怪盗シャトヤンシーズの1号は、恭しく頭を下げていた。
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