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ナルシストが寄ってくる
小学生の頃、クラスに1人ナルシストがいた。
ソイツはクラスメイトのみんなから好かれていた。『僕は世界一のイケメンだ!』なんて騒いでいた。ナルシストなのは気にならなかったけれど、卒業するまでずっと視界に入ってかなりウザかった。
まぁ小学生がおふざけで言ったりするやつだろうとしらけた目で見ていた。
中学に入ると、ソイツはいなくなっていた。これで静かな学校生活が送れると安堵したのも束の間、イケメンが転校してきてまた学校が騒がしくなった。
これじゃあ平穏な学校生活が遅れそうにねーなと早々に諦めた。
そして現在高校2年生。先生が転校生が来ると言っていた。
そういやアイツの名前なんだったかな…確かーー……
「やぁみんな元気かい?僕は成海 裕也だよ。」
そうそう、成海 裕也ーー……って、え?
机に肘をついてボーッとしていたが、ハッと我に返った。
「成海くんです。みんな色々教えてあげてね。席は永岡の隣。」
先生はビシッと俺を指差した。
「おやっ?晴彦くんじゃないか!」
げっ、俺のこと覚えてたのかよ。小学生の頃から大人しくて、あんな奴の記憶に残ってるなんて訳わかんねー。
しかもなにカッコよくなってんだよ。もっとムカつく!
思わずギロリと睨むと、両手をあげて、『おぉ、怖い怖い』とクスクス笑いながら思ってもないことを言った。
そもそもコイツなんで転校してきたんだよ。コイツうるさいし好きじゃないし…1番再会したくない奴だ。
「なんだい?ジッと僕を見つめて。ッハ!もしかしてイケメンと話せて嬉しいのかい?!」
「はぁ?何訳わかんねーこと言ってんだよ。」
「僕はプリンスと話せて嬉しいけどねっ。」
俺が顔を顰めると成海はパチンとウィンクして見せて、俺は呆れたようなため息をついた。
つかコイツ、よく見ると昔もっと地味だったよな?整形とかしてんのか?
「…お前昔と顔全然ちげーな。」
昔の顔を思い出しながらポツリと呟くと照れたように頬を赤くして微笑んだ。
「そうかい?やっぱり輝き増してるかな?」
照れながら気持ちわりーこと言うなよ。マジでなんなんだコイツ。
俺がチッと小さく舌打ちをした直後、授業の先生が来て、俺はノートと教科書を取り出した。
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