3人が本棚に入れています
本棚に追加
***
「なあ、『好き』って言って」
「やだよ」
「いーじゃん、減るもんじゃなしに」
「俺の自尊心とか色々減るわ」
拓海はゲームをしている。
「拓海、問い10の答えなに」
「ああ? x=15 y=3」
俺は宿題を拓海に教えてもらっている。答えを書くだけだけど。
時刻は、夜の11時。拓海はこのまま俺の部屋に泊まる。親は、親友かなにかだと思っている。
俺は、まだなにもしてないけど、拓海のことを恋人だと思っている。告白はしたし。
拓海は、「いいよ」とは言ったけど、「勝手に舞い上がってカノジョみたいなことしてきたら即縁切る」
と言った。だから、キスだけは許可をもらってした。
今日も、拓海は俺の部屋に泊まるけど、友達の家に泊まるのと、たぶん一緒の感覚で来ている。
拓海は、男と付き合うのは初めてだと言う。
女子ならいたの、と聞くと、思い出したくない、と言った。
俺と付き合うの、気持ち悪くないの、と聞くと、
「お前はなんでも許可を取るからいい」
と、よくわからない返事をされた。
なあ、本当は、もっと強引にしたいよ。
俺、ガマンしてるんだよ。
でも、お前と別れたくないから、まだ親友を少し飛び越えたこの位置で、満足しているふりをしている。
「七夕だからお願い1個聞いて」
「俺じゃなくて星に願え」
「だって拓海の方が叶えてくれそうだもん」
「……今日泊まるんじゃなかったよ」
「後悔ならいくらでもしていいよ」
「なんで俺の後悔にお前の許可がいるんだよ」
間。
「愛してるって言って」
「なんでハードル上げんだよ」
「深夜テンションってやつ」
「……愛してる」
「俺も」
「なあ」
「なに」
「俺からの願いも聞いてくれるか」
「星に願えば」
「お前の方が近いんだよ」
「なに?」
「ずっと一緒にいてくれ」
そう言った拓海の顔は、
こっちが照れるくらい紅かった。
完
最初のコメントを投稿しよう!