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「なあ、『好き』って言って」 「やだよ」 「いーじゃん、減るもんじゃなしに」 「俺の自尊心とか色々減るわ」  拓海はゲームをしている。 「拓海、問い10の答えなに」 「ああ? x=15 y=3」  俺は宿題を拓海に教えてもらっている。答えを書くだけだけど。  時刻は、夜の11時。拓海はこのまま俺の部屋に泊まる。親は、親友かなにかだと思っている。  俺は、まだなにもしてないけど、拓海のことを恋人だと思っている。告白はしたし。  拓海は、「いいよ」とは言ったけど、「勝手に舞い上がってカノジョみたいなことしてきたら即縁切る」 と言った。だから、キスだけは許可をもらってした。  今日も、拓海は俺の部屋に泊まるけど、友達の家に泊まるのと、たぶん一緒の感覚で来ている。  拓海は、男と付き合うのは初めてだと言う。  女子ならいたの、と聞くと、思い出したくない、と言った。  俺と付き合うの、気持ち悪くないの、と聞くと、 「お前はなんでも許可を取るからいい」  と、よくわからない返事をされた。  なあ、本当は、もっと強引にしたいよ。  俺、ガマンしてるんだよ。  でも、お前と別れたくないから、まだ親友を少し飛び越えたこの位置で、満足しているふりをしている。 「七夕だからお願い1個聞いて」 「俺じゃなくて星に願え」 「だって拓海の方が叶えてくれそうだもん」 「……今日泊まるんじゃなかったよ」 「後悔ならいくらでもしていいよ」 「なんで俺の後悔にお前の許可がいるんだよ」  間。 「愛してるって言って」 「なんでハードル上げんだよ」 「深夜テンションってやつ」 「……愛してる」 「俺も」 「なあ」 「なに」 「俺からの願いも聞いてくれるか」 「星に願えば」 「お前の方が近いんだよ」 「なに?」 「ずっと一緒にいてくれ」  そう言った拓海の顔は、  こっちが照れるくらい紅かった。  完  
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