いざ、絶海の孤島へ

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いざ、絶海の孤島へ

 合宿当日の7月25日の朝。 「おはようございますっ!」  緊張してあまりよく眠れなかったけど、髪の手入れとナチュラルメイクだけは完璧にして、私は約束のバス停に到着した。  キャンプだから一応動きやすいようにTシャツとショートパンツを着てきた。あとは帽子と、薄手のカーディガンも持参。もちろん勝負下着もつけてきている。多分、脱ぐことはないだろうと思うけど、一応ね! 「おはよう、田宮くん」  部長はいつでもどこでも爽やかでキッチリとしたワイシャツとスラックス姿だ。でも、いざとなればすごい行動力でどんな岩山でも登りそうな雰囲気がある。  そんな部長の手荷物は、実験器具の入った頑丈そうなトランクケース一個と、背中にある登山用の大きめなリュックだった。 「テントってどうするんですか?」 「現地で設営済みのものをレンタルできるんだ。すでに予約してあるから心配しなくていい」 「なるほど、頭いい! さすが部長ですね!」  数日前にもらったメールによると、私たちはこの後バスでN港に行き、N港からクルーザーに乗って人口300人が住んでいるという島に渡るのだという。 「その島は沢田神(さわだじん)という人物の私有地なんだが、俺の父が彼の主治医をしていて、そのツテで特別に入島を許可されたんだ。自然が多く残っている素晴らしい島だそうだよ」
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