13.芸能科の彼

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13.芸能科の彼

昼休みに教室に戻り、菜乃花と一緒にお弁当を広げながら先ほどの一件を報告した。 すると、彼女は軽く首を傾けて憶測を始めた。 「もしかしたら、その★マークの彼は芸能科なんじゃない? なんか、少し前に似たような噂を他のクラスの友達に聞いた事がある」 「へぇ、どんな?」 「芸能科同士でも売れてる子の人気を妬んで、盗んだ私物をネット販売する人もいるらしいよ」 ーー芸能界。 そこは弱肉強食の世界。 足の引っ張り合いと言う噂は耳にした事があるけど、まさか校内でそういった陰湿な事件が行われているとは。 もし彼も被害者の一員なら、プライベートでも自由が奪われてるように思えて少し不憫に思った。 「でもさ、★マークの彼がどんな人か気になるね。実は超売れっ子アイドルだったりして」 「もしそうだとしても、芸能人とか興味ないよ。しかも、★マークと声だけじゃ芸能ツウでも誰だか分からないし」 「もしかしたらハルくんだったりして。あーっ、芸能科というだけで勝手に想像が膨らんじゃう。もし、そうだったら私も保健室に行こうかな」 期待に胸を踊らせながら楽観的な考えを持つ菜乃花は、相変わらずハルくん一色。 でも、もし話が本当であれば、警戒心に納得がいく。 利用記録表に本名を書いて後に普通科の生徒がそれを見たら問題が起こりそうだし、私物が誰かに盗まれても嫌だもんね。 それに、仕事の都合上、通常登校が不可能な芸能科の生徒はある程度学校側から配慮されているから、生徒があの時間に保健室のベッドに転がっていてもおかしくない。
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