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29.集団の中の一人
セイの存在に気付いた紗南は、すかさず集団の方へ振り返った。
だが、後ろ姿だけじゃ本人かどうか確認出来ない。
ただ、何も出来ぬまま眺めるだけ。
セイくんに会いたくても、いつもベッドを囲むカーテンが閉まってるから、例え廊下ですれ違っても、どれくらいの背丈なのか、どんな顔でどんな風貌なのかさえわからないから見つけられない。
あっ、そうだ!
セイくんの上履きには星マークが書いてあった。
もしかしたら足元から見つけれるかもしれない。
小さな期待に胸を躍らせると、集団の足元へ目線を落として一人一人の上履きを目でなぞった。
すると、不揃いに足を進ませる足元から彼の上履きを発見。
思わず緊張で胸が弾む。
目線を足元から上に辿っていくと、彼は友達に大切にされてるかのように、輪の中に囲まれるように歩いていた。
結局本人を見つける事が出来ても、他の男子の背中に視界が阻まれてしまい後ろ姿しか確認出来ない。
身長は175センチ前後。
スラっと細身。
茶髪でマッシュヘアー。
人の頭の隙間からほんの少ししか見えなかったけど、ほんの小さな進歩に瞳を潤ませた。
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