黙示録に向けた自殺

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しかし、事態は一転した。明け方のニュースで熊谷さんが逮捕されたのだ…。巧妙なトリックを施し、自殺に見せ掛けたのだと…。怪力である熊谷さんは流石に関わりないと思っていたのだが、あの熊谷さんは警察に成り済ましていたのだ。「何やかんや気の長い熊谷さんと、筋金入りの短気者の木橋喜太郎…。啀み合うでもなしに、妥協点は既に宇宙の法則の域か…。」私はニュースに齧り付いていた。「熟睡中の木橋喜太郎は首にドアノブに結び付けられた紐を掛けられ、椅子に座らされていた。熊谷さんはその椅子を退かしただけだと供述しているらしい…。」決め手は紐に残っていた熊谷さんの指紋だったのだが…。私はしかし、思い余り、吹き出してしまった。「ぷふぅーっ!あっははっ!何故椅子に座らせる必要があったんだ?紐には指紋付いてるしで…。」私は吹き出した分気持ち悪くなり、木橋喜太郎が自殺の常習犯ではなく、未練のある浮遊霊だと悟るのだった。 -完-
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