6人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうこなくちゃ! こちらにも総大将様がおられる! 天下騒然尾張の大うつけ織田信長様よ!! こりゃ逃げるわけにはいかないよな!」
褒め言葉を思えないその文句に、今川兵士たちが信長に視線を集める。
信長もまた尾張領主としてそれなりの鎧を身につけていて、かなり目立つのだ。
向こうも倒すなら信長からと思っただろう。
「利家、てめえ……!」
周囲から並々ならぬ殺意を感じ、利家を叱ろうとしたが、利家はすでに義元めがけて走り出していた。
利家を止めるようと今川兵が集まってくる。
だが利家は槍をまっすぐ構えて突進を続ける。
「どけどけどけい!」
今川兵も必死にくらいつき、十人がかりで利家を取り囲む。
利家は敵を突き飛ばしていくが、さすがに多勢に無勢。
「くそっ、動けねえ!」
一度取り付かれると、足下がぬかるんで力が入らず、振りほどくことができなかった。
「助太刀いたす!」
そこに現れたのは恒興だった。
信長前方の敵に自ら突っ込んでいく。
突然現れたカモに敵が集まり、自然と周りに隙ができる。
「いいぞ!」
信長は馬を走らせ、敵の間を抜けていく。
最初のコメントを投稿しよう!