いざ出陣

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「そうこなくちゃ! こちらにも総大将様がおられる! 天下騒然尾張の大うつけ織田信長様よ!! こりゃ逃げるわけにはいかないよな!」  褒め言葉を思えないその文句に、今川兵士たちが信長に視線を集める。  信長もまた尾張領主としてそれなりの鎧を身につけていて、かなり目立つのだ。  向こうも倒すなら信長からと思っただろう。 「利家、てめえ……!」  周囲から並々ならぬ殺意を感じ、利家を叱ろうとしたが、利家はすでに義元めがけて走り出していた。  利家を止めるようと今川兵が集まってくる。  だが利家は槍をまっすぐ構えて突進を続ける。 「どけどけどけい!」  今川兵も必死にくらいつき、十人がかりで利家を取り囲む。  利家は敵を突き飛ばしていくが、さすがに多勢に無勢。 「くそっ、動けねえ!」  一度取り付かれると、足下がぬかるんで力が入らず、振りほどくことができなかった。 「助太刀いたす!」  そこに現れたのは恒興だった。  信長前方の敵に自ら突っ込んでいく。  突然現れたカモに敵が集まり、自然と周りに隙ができる。 「いいぞ!」  信長は馬を走らせ、敵の間を抜けていく。
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