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「うおっ」
信長はすんでのところでかわした。
あと少し遅ければ、自分の首が飛んでいただろう。
信長も刀を引き抜いて、今度は義元の攻撃を刀で受ける。
「ただの貴族かぶれじゃなさそうだな」
「あんなの後世の勝手な妄想よ! まろキャラとは失礼にも程がある!」
不思議なことを言われたが、真剣勝負中に考えている余裕はなかった。
義元は何度も刀を打ち付けてくる。
その度に刀が歪み、信長の腕にも激しい衝撃が伝わってくる。
互いに沼地の中で重い鎧を着ているので、ほとんど動くことができない。先に一撃加えたほうが勝ちとなる。
信長は懸命に防ぐが、足が泥にはまっていき、姿勢がどんどん崩れていく。
「このままでは……」
ついに踏ん張れなくなり、信長は手を地面につけてしまった。
「終わりだな、尾張のうつけ殿!」
義元が刀を高く掲げ、往年のギャグと共に、渾身の力で振り下ろそうとする。
信長は当然つっこんでいる余裕はない。
「河尻秀隆、参上!」
そこに突然、秀隆が現れ、背後から義元の首をはねてしまう。
一瞬のことで信長は呆然としてしまう。
ちなみに、一般的に毛利新介が義元を討ったといわれるが、秀隆説もある。
「殿、危ういところでしたな!」
「いいところだけ持っていきおって」
「おっと、減らず口を叩けるのは元気な証拠ですな」
どっちが減らず口だ、と思いながらも、信長は秀隆に手を借りて助け起こされる。
「いざ戦ってみればあっけないものですな。では殿、締めと参りましょう」
信長は義元の打撃で無様に折れ曲がった刀を天高く掲げる。
「今川義元、討ち取ったり!!」
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