差無頼もの

1/3

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ

差無頼もの

 静寂が支配する原っぱで刀を構えた侍が合間見えていた。それを月明かりが照らす。  一人の侍の名は前田弥之助成正(まえだやのすけなりまさ)といい北辰一刀流の使い手で、もう一人の侍の名は早川実衛門兼近(はやかわさねえもんかねちか)といい神道無念流の使い手だ。  二人はまさに果たし合いの最中なのである。  緊迫した空気の中、二人は動けずにいた。手練れ同士の戦いの勝敗は一瞬で決まる。  そんな中二人は互いを見据えじりじりと間合いを詰め、刀を振るタイミングを見計らっていた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加