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今度は前田弥之助が素早く身を後ろに引き、早川実衛門の斬撃をかわすわけだが、切っ先が左頬をかすめ血が滴り落ちていた。
二人は相対しながらニヤリと笑みをこぼすと、語り合うように斬撃の応酬を続け始めたのだが、流石に使い手同士の戦い。勝負はつかずに時間だけが過ぎる。
そんな事を続けてるといつの間にか夜が空けかけていた。
「これでは話にならんな」
「ああ、話にならん」
「勝負はお預けだ」
「次こそは勝たせて貰うぞ」
そう言葉を交わすと踵を返し帰路へとついていった。
地面に差無頼ものの語らいの爪痕を残して……
。
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