差無頼もの

3/3

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
 今度は前田弥之助が素早く身を後ろに引き、早川実衛門の斬撃をかわすわけだが、切っ先が左頬をかすめ血が滴り落ちていた。  二人は相対しながらニヤリと笑みをこぼすと、語り合うように斬撃の応酬を続け始めたのだが、流石に使い手同士の戦い。勝負はつかずに時間だけが過ぎる。  そんな事を続けてるといつの間にか夜が空けかけていた。 「これでは話にならんな」 「ああ、話にならん」 「勝負はお預けだ」 「次こそは勝たせて貰うぞ」  そう言葉を交わすと踵を返し帰路へとついていった。  地面に差無頼ものの語らいの爪痕を残して…… 。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加