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ロケットペンダント
夕暮れに染まる海辺に整えられた白髪頭でスーツ姿のすらっとした身なりのいい初老の男性が佇む。
かれこれ五年にはなるだろうか。
毎年、この時期になると必ず何するとはなく海辺に現れてはただ佇んでいるのだ。
気になった私は、好奇心を抑えられず、散歩をしているていで、彼に近づき様子を窺う事にし、歩みを進める。
彼はロケットペンダントと話をしているようで、私は何故かこれ以上近づいてはならない。そう感じ歩みを止めた。
風に白髪をなびかせロケットペンダントを覗く様は、どこか映画のワンシーンのようで目を釘付けにし、私は映画を見るようにただ魅入っていた。
暫くすると彼はロケットペンダントとの語らいを止めると哀しげな表情を残して海辺を後にしていた。
ーー切なそうな足跡を残して……。
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