猫の素質2

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猫の素質2

 このツンデレ7:3(シチサン)を教えてくれたのは、荻元家の隣の坂上家に飼われている灰猫長毛種、今年16歳になるグレさん。  16歳って、猫の世界では長生き。長生きは、飼い主さんにいっぱい愛され可愛がられ、ストレスなく生活できている証拠。  この町の長老的存在・グレさんの言う事だから間違いない。  そしてそんなグレさんに、私は分からない言葉を聞くことにしている。 「ヒトは、ツンデレが好きなんじゃ」  人は不思議な生き物で、追われると逃げる、逃げると追う性質なんだって。  鯉の駆け引きっていうのが好きで、押してばかりはダメ。たまには引いて、相手の気を引くのが大事だとか。 (確かに鯉は、お池の中を好き勝手にあっちに泳いだりこっちに泳いだりしてたわね)  一度狙ったことあるんだけど、すうっと逃げられて、危うく私が池に落ちかけたことを思い出しちゃった。 「ツンデレって何?」 「ツンツンした冷たい態度で邪険にした後に、急にデレデレと甘えた態度になることじゃ。この差が人間にはいいらしい。ツンの後にデレられるとキュンっとなるそうな。黄金比率は7:3と言われておる」 「それって『ドエム』?」 「ちょっと違う。ドエムは、虐げられるのが快感になっている性癖だから……って、きん。まだ2歳のお前が、どこでそんな言葉を?」 「この間、遊びに来ていたお友達とのお話でお姉ちゃんがツッコんでたの。『どんだけドエムなん!?』って」 「……そう。『好奇心』は猫の素質じゃが、きんよ。その飼い主さんの変な言葉は忘れるがよい」  これも猫の素質「好奇心」  元々狩猟が生業(なりわい)だったから、好奇心旺盛なのよね。  お姉ちゃんの謎言語いっぱいなお話も、ついつい聞いちゃうの。
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