猫の素質3

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 これもグレさんが教えてくれたこと。 「昔むかし、ヒトが生きていく手段に狩猟を行っていた時には、我々・猫とはむしろライバル関係にあった。われらも狩猟で日々の糧を得てたから、言ってみたら獲物の取り合いをする仲だったのぉ。その時に人が狩猟のパートナーとして選んだのは、従順で忠実な犬じゃった」 「犬……」  知ってるわ。  いつも私を見かけると、やたらと吠える嫌な奴のことね。  むかつくから、私はブロック塀の上に居て、絶対に下になんかおりてあげないけど。 「うん、うん。最近、近所に越してきたジョンはよく吠えるからのぉ。怖くてかなわんのぉ」  グレさんが目をしょぼしょぼさせて言う。  やだ。勘違いしないでよ。  そりゃびっくりして尻尾は丸まってお尻の下に入り込んじゃうけど、それはあいつ()が大きな声で吠えるからであって、絶対に怖いからじゃないんだから、ね。  それよりも話の続きを聞かせて、グレさん。
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