なんだかんだで就職できました。

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 「時代の移り変わりと共に亡者の方々も変わってきてる。  裁く側の力量が問われるんだよ」  経営者みたいなこと言ってる。  「冥界もアップデートが必要なんだ」  閻魔がスーツ姿ってことは、これまでもアップデートを繰り返したんだろうな。  足を組み、瞳を野心でギラつかせるセクシー閻魔。  「紗那ちゃん。  現代を生きながら冥界に来られるキミは、我々にとって貴重な人材なんだよ」  ドキッとしたのは、イケメンに熱っぽい目で見つめられたから。  だけじゃない。  【緑川様の今後のご活躍を──】  通算100通の“お祈りメール”が頭をよぎる。  冥界なんて、ホントは怖い。でも。  型に嵌めた言葉じゃなく、閻魔さまは心から私の能力を買ってくれている。  そんな気がした。  「それとも、もう就職決まっちゃったかな?」  閻魔さまがしょんぼりと肩を落とす。  (たかむら)が鼻で笑った。  「フ。聞くまでもない。  どう見ても暇であろう」  「忙しいわ!」と返せないのが辛いところだ。  「あの……お給料ってもらえるんですか?」  「その点なら心配ないよ」  恐る恐る聞いてみると、閻魔さまはパアッと笑顔になった。  「俺を祀ってる寺社はけっこう多いんだ。  その中に“第一閻魔神社”(※)ってとこがあってね」  その第一閻魔神社の神主の家系は代々特殊な力を持っており、閻魔さまと交信することが可能だという。  「給料はそこから出そう。  初めはそんなにたくさん払えないけど」  そ、そんな神社があるんだ。  人件費を捻出してもらうなんて申し訳ない。  金銭面の問題をあっさりクリアしてしまった。  「決まりだね」  私の様子を見ていた閻魔さまが手を差し出す。  躊躇(ためら)いつつ膝から手を浮かせると、グッと引き寄せられる。    超絶イケメン閻魔と握手してしまった。  大きくてあたたかい、閻魔さまの手。  「フン。せいぜい励むことだな」  ふんぞり返ったままの篁。  直属の上司には難ありか。  でも、とりあえず。  就職、できちゃった。  (※)架空の神社です。
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