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「もー。せっかちだなぁ、篁は」
閻魔さまは呆れたように篁を一瞥すると、すぐに鏡に視線を戻す。
角度を変えながら自分のイケメンぶりを確認すると、満足そうに頷いた。
「紗那ちゃんも、そろそろ冥界の詳細を知っておいた方がいいと思ってね。
ちょっと時間とれるかな?」
わ。
新人研修ですか。
「行きます行きまーす!」
右手をビシッと上げる私。
「いいねぇ、意欲的で。
そういうワケだから篁、ちょっと紗那ちゃん借りるよ」
「フン」
篁は不満そうに机に足を投げ出した。
私がいないと自分が動かなければいけないため、面倒なのだろう。
「研修なら仕方ないですよね、篁さま~。
あとお願いしまーす」
ホントは帰るつもりだったけど、私の感覚だと俗世はまだお昼過ぎ。
時間的には余裕だ。
しかも、超絶イケメン閻魔と研修だよ!
「どうぞ、紗那ちゃん」
少し曲げた腕をこちらに差し出して微笑む閻魔さま。
私は、ドキドキしながらそこに自分の手を添える。
冥界万歳!!
研修終わったら黙って帰っちゃおーっと。
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