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◇
「シュンタさん。事故に遭われたことは覚えていますか?」
冥界。
畳敷きの空間の中央で、シュンタさんと向き合った。
篁は自席に沈み込んでいる。
「ああ、さっき思い出した。アコはどうなった?」
「奇跡的に、かすり傷で済んだようです」
シュンタさんはホーッと長い息を吐いて「良かった」と呟いた。
「……俺は?」
目を合わせられない。
「死んだのか?」
答えなきゃ。
伝えなきゃ。
それが、こんなに辛いなんて──。
「冗談やめろよぉ。大丈夫なんだろ?」
シュンタさんがおどけてみせる。
私は、首を横に振るのがやっとだった。
「ふざけんなよ!!」
シュンタさんの怒号が耳を突いた瞬間、私は畳の床に倒れ込んだ。
一拍遅れて理解した。
私、突き飛ばされたんだ。
「あんた、言ったよな? 間違いだって。
大丈夫だからってよぉ!!」
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