エピローグ

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エピローグ

 「紗那ぁ? 時間、大丈夫なのー?」  階下からの母の声で目が覚めた。  「あれ……」  自分の部屋にいる?  私、冥界で泣いてたはずなんだけどな。  (たかむら)の背中で。  その後の記憶は無いんだけど。  泣いたのは確かなようで、瞼が重い。  母は、私が深夜に帰宅したと思っているようだ。  どうやって帰ってきたんだろう。  身体を起こしてみると、ベッドの上だった。  汚れたビジネススーツのままで、パンプスも履いたまま。  左の脛に、青々とした葉っぱが乗っかっている。  「治ってる」  葉っぱを取り上げてみると、流血していた脛の傷は跡形もなかった。  痛みもない。  これ、篁が──?  私をここまで運んでくれたのも?  「よし、行くか」  両手でピシャリと頬を叩く。  私には、やるべきことがあるんだ──。  ◇  朝の歩道橋。  真ん中から下を覗くと、たくさんの車が行き交っている。  ここから飛び込めば、シュンちゃんのところへ行けるかな。  どうして?  どうして、私を置いて逝っちゃったの?  シュンちゃんがいない世界なんて、何の意味もないよ。  きっと一瞬で済む。  ねえ、シュンちゃん。私も、今そっちへ……。
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