えらいところに来ちゃいました。

2/2
前へ
/45ページ
次へ
 全身黒のスーツで決めたホスト系。  篁の肩に寄りかかって手を振っている。  いつの間に出てきたんだろう。  「え……綺っ麗……」  思わず声が漏れちゃうほどカッコいい。  おまけに、常に目を吊り上げている(たかむら)とは対照的にとっても気さくな感じだ。  篁がうんざりしたように腕組みした。  「閻魔か。仕事はどうした」  「秦広王(しんこうおう)に説教しに行ったついで。  どんなコか見たくてさ」  その人は篁に寄りかかったまま、懐から手鏡を取り出した。  角度を変えながら自分の姿をチェックして視線をこちら戻すと、親指で篁を指す。  「リーダーの閻魔でーす。  一応、こいつの上司ね」  私はといえば、その妖艶な目力に魅せられて開いた口が塞がらない。  ミディアムに流したダークブラウンの髪と同じ色の瞳。  カッコ良すぎ! 少しチャラいけど。  ……っていうか。  「ええぇっ! 閻魔ぁっ!?」  これが!?  あの、嘘ついたら舌を引っこ抜かれるっていう……。  閻魔さま!?  「ぶふっ! 口がアワアワしちゃってるじゃーん。  紗那ちゃんはかわいーねぇ」  閻魔が破顔した。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加