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なんだかんだで就職できました。
篁に憎まれ口を叩かれても、閻魔さまはカラカラと笑っている。
「なんかこの人、部下の割に態度悪いですよね」
だって、篁は閻魔さまに仕える立場だったワケでしょ?
「分かる? こいつ酷いんだよ!
生きてる時からこんな感じ!」
閻魔さまが同情を求めるように前のめりになる。
調べたところによれば篁って、お上に対しても怯まなかったらしいもんね。
俗世も冥界も関係なく、己を通してきたのだろう。
「軽薄な奴め。
さっさと要件を済ませ」
「はいはい。もー怖いな、篁ちゃんは」
篁にギロリと睨まれた閻魔さまは、肩をすくめて私に向き直る。
「というワケで、緑川紗那ちゃん。
キミを、小野篁の後継者に指名しま~す」
え……。
今、チャラい態度で凄いこと言わなかった!?
「えええぇっ!?」
「あれ? 篁から聞いてない?」
閻魔さまが不思議そうな顔をする。
「聞いてないっ!」
あ。でも病室の枕元で、仕事をやるとかなんとかって。
あのこと?
「あんな言い方で分かるか!」
「あ~、なんか篁っぽいよね~」
閻魔さまが呑気に笑い、篁はうるさそうにそっぽを向く。
「まあ、後継者と言っても当分は2人で仕事してもらうから」
閻魔さまは、ここでスッと真顔になった。
やっぱり、この世のものとは思えないイケメン度。
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