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昇降口で上靴に履き替えようとしたら、何やら不穏な言葉が聞こえてきた。
「菜子、それ手紙?」
ぬぬ、佐藤さんに手紙?
「うん、そうみたい」
「ははーん、もしかしてラブレター?」
「そうみたい」
なぬなぬ? 聞き捨てならないワードが聞こえる。
「昼休み、体育館裏に来て下さいって」
「告白かー、青春だなあ」
これは行かねば。
昼休み。僕は体育館裏に行った。覗きだよな、これは。よくないとは思ってるけど。僕は木の陰に隠れて二人を盗み見る。
「佐藤さん、好きです!」
やっぱり告白だった。しかも結構かっこいいぞ。爽やかイケメンだ。声もイケボイス。真面目そうな男だ。僕に娘ができたら、ぜひともああいう男に嫁に出したい。……じゃなくて。
佐藤さん、何て答えるのかな?
「ごめんなさい、私好きな人がいるの」
なぬ!? 聞き捨てならないWORDが聞こえたぞ。
「そうなんだ……。誰か、聞いてもいい?」
そうそう。誰なの? 佐藤さん!
「えっと……、すぐ後ろで見てる人」
なぬ! バレてたか。
「でも、嬉しい……」
僕は軽く跳び跳ねた。
あとで僕は佐藤さんから告白された。答えはもちろん。
「ごめんなさい」
「なんで!?」
だって、僕にこんなものつける人とは付き合えないよ。
僕の靴底には発信器がつけられていた。
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