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 チャミーは基本的に僕と同じ生活リズムで動作する。僕が朝七時に起床すると、チャミーも七時になると走りまわる。僕がトーストとトマトジュースの朝食をとっていると、チャミーもデジタルアーモンドやパラジウムフルーツを齧りだす。仕事に行っている間は、栗鼠用ブランコや木登りをして遊び、遊びに飽きると充電しているようだ。僕の留守中の来訪者があれば、ちゃんと記録もしてくれる。  仕事がオフの日はいっしょに買い物に出かける。肩や頭のてっぺんにのせて公園の散歩も楽しむ。GPSが装着されているのでチャミーが迷子になることもない。とてもお利口さんで、言うことをよく聞いて、規則正しく、清潔だった。  別れたセネア・コールは僕にステキなプレゼントをしてくれたわけで、しかし、疑問が湧く時もあった。なぜ、彼女はAi栗鼠を送ってきたのだろう。添付されていた手紙を何度も読み返しても、その意図がくみ取れなかった。  そもそも彼女はAiをよく思っていなかった。僕がAiチャットやスマホに夢中になっていると、いつもそれを咎めていたし…理由を問うと、個人情報のすべてが、国や民間企業や悪意のある団体に吸い取られてしまって、貯金まで消滅してしまうからだとまくしたてた。セキュリティ対策をしているから問題ないと諭しても聞く耳を持たなかった。  僕は深呼吸をした。  冷静に考えると、デジタリスのプレゼントは僕に対する当てつけかもしれない。 ――レン、あなたには友達が必要だと思う。  彼女の手紙にはそう書いてあった。  友達とは、文句も言わず、ただひたすらに従順な仲間のことなのだろうか。たしかにチャミーは癒しを与えてくれる。鳴き声を発して甘えることもあるが、けっして文句は言わない。Aiと僕は同類だというのか。  チャミーが僕の足元でじゃれついていた。  急にムカついた。こんなモノ!  僕はチャミーを蹴飛ばした。チャミーは壁に叩きつけられ、動きを止めた。  しばらく停止していたが、再起動スイッチが入った。    一か月ほどたったある日。  仕事から帰ると、いつも玄関まで来て迎えてくれるチャミーの姿が見えなかった。その辺に隠れていて飛び出しのサプライズかもしれない。  僕は期待しなからじっとして様子を窺った。  静かだった。 「チャミー、出ておいで!」  反応はない。  僕はスマホを取り出し、チャミーのGPS反応を確かめた。  青色の輝点が明滅している。  そこは町はずれにある再開発地区だった。ここから3マイルも離れている。    
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