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チャミーを蹴飛ばしてしまったことを後悔していた。だから、いてもたってもいられず、僕は車に飛び乗った。自動運転モードの行先を再開発地区に設定した。
警告音が鳴った。
ナビシステムのディスプレイにテロップが流れた。
<現在、再開発地区は立ち入り禁止です。立ち入る場合は当局の許可が必要です。許可証IDをディスプレイに提示するか音声パスコードを入力してください>
「は? そんなもの、あるわけないだろ」
僕は怒鳴った。
ディスプレイは複雑な幾何模様を描いた。
<パスコードが違います。再入力して下さい>
テロップではなく、Aiの中性的なアナウンスが流れる。
「迷子になったペットを探しに行くんだよ! このおたんこなす!」
僕は思いつくままに悪態をついた。Aiは続けた。
<パスコードが違います。あなたが使った汚い言葉遣いは、カウントされ、裁判になった場合不利になります。撤回しますか>
「ふざけるな! 馬鹿野郎!」
ぶち切れた。ナビシステムをオフにし、運転モードを手動に切り替えた。ギアを入れ、アクセルを踏み込んだ。
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