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 再開発地区は野球場4面ぐらいの広さがある。一帯は昔の古い建物や公園があった場所で、今は高さ十メートルもある塀に囲まれている。一般人の立ち入りは禁止されているとのことだが、チャミーがなぜこの中にいるにかはわからない。  塀沿いをゆっくりと運転しながら入口を探した。  工事用車両の入り口がどこかにあるはずだ。  妙なことに気がついた。重機などの駆動音が聞こえないのだ。あたりに工事関係者が歩いていてもよさそうな気もするが、人影はいっさいなかった。埃っぽい風がびょうびょうと吹きつけていくだけである。塀の向こう側も墓場のように静かだった。  僕は車を降りた。  塀沿いを慎重に歩きまわって、ようやく、小さな扉を発見した。車で探していたら決してわからない、くぐり戸のような入口だった。  GPS反応の青い輝点が強くなった。  くぐり戸には錆びついたドアノブがあって、ノブを回すとギギギと耳障りな音が響いて、ドアが開いた。草と土の嫌な臭いが鼻をついた。何かが焦げるような異臭もする。鼻を手で覆いながら様子を窺った。 「チャミー、出ておいで、すぐそこにいるんだろ?」  GPSの点滅が激しくなった。  そこに横たわっていたのは、ばらばらにされたチャミーだった。  発光信号だけが虚しく明滅していた。  頭が真っ白になった。    
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