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「葵、ピザどうする?」 「トマトが入ってる、Lサイズがいい」 ベッドに並んで佐橋と腰掛けた僕が そう言うと、佐橋は僕の髪を撫でながら 頷いた。 「由貴。悪いけど、内線かけて?」 「うん」 川瀬はソファから立ち上がると、 ベッドサイドに置かれた電話の受話器を 上げた。 「‥‥あ、すみません。ピザの注文したい んで、受け取りをお願いしてもいいですか」 そう話し始める川瀬を見つめていると、 佐橋に手を握られた。 「葵は由貴が好きなの?」 「え」 「隠さなくてもいいよ。そうなの?」 ちらっと川瀬を見ると、 ちょうど電話を切った川瀬と目が合った。 「もしかして、由貴にはもう伝えた?」 「‥‥うん」 「そうか、残念だなあ」 「ごめんなさい」 「謝らなくてもいいよ?僕にとって由貴は 大切な親友だから、葵も由貴を大切にして くれたら嬉しい」 「もちろん、そうするよ」 「ありがとう」 「佐橋、まだ葵に伝えてないことが」 「ああ、あのこと?」 川瀬と佐橋が意味深なアイコンタクトを したので、間にいた僕はすかさず訊いた。 「あのことって?」 「葵を受け入れた、本当の目的」
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