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「今日、岸野くんを呼んだのは僕の心境を 話したくて。先日、岸野くんと過ごして、 ただのセフレじゃない感情を抱いた‥‥ 由貴んちに泊まったって聞いて、気が気じゃ なかったよ。もし僕が岸野くんと前向きな 気持ちを持ってるって言ったら、岸野くんは どう思う?」 「え、それって」 「少しずつ、キミへの恋心が育ってる‥‥ 迷惑かな?」 「いや、そんなことは」 川瀬の気持ちがわからない以上、 川瀬と同じくらい魅力的な佐橋からの 意外な告白に、揺れない訳がない。 「ありがとう‥‥そうなんだね」 佐橋を見つめると、佐橋は僅かに頬を染め、 「今日も抱きたいけど、前回よりも優しく する。もし今後僕と2人で会ってもいいと 思ったら、言って欲しい」 と言った。 「うん、わかった」 「すみません、帰っていいですか」 川瀬が苦笑いしながら、口を挟んできた。 「僕、いなくて良くない?」 「えー、由貴は岸野くんを抱きたくないの」 「というか、佐橋がそう思ってる相手を 何も考えずに抱くのはなあ」 「そこは遠慮しないでよ、由貴だって 岸野くんのこと嫌いじゃないでしょ?」 佐橋の問いかけに、一瞬言葉に詰まった ように見えた川瀬の答えを待ってしまった。 「‥‥そんなに見るなよ。言わないし」 僕と目が合い、再び横を向いた川瀬は、 「シャワー浴びてくる」 と言って、浴室に逃げた。
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