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【6月14日(水)
斗真の彼女の友達3人に呼び出されて、斗真と仲良くするな、彼女の気持ちを考えろと言われた。
怖かった。だけどそれ以上に悔しい。
何で、私がこんな目に合わないといけないのだろう。
斗真は私と友達だと思って接してくれているのに。
彼女だからと言って、友達を奪う権利なんて無いはずだ。
私だって斗真のことが好きだけど、ふたりの仲を壊すつもりなんて無いのに。】
部活動が始まる放課後の、屋上へ続く階段の踊り場。
クラスが違う同じ1年生の女子3名が、壁を背にした私を囲った。
「アンタ、ちょっと無神経なんじゃない?」
「斗真くんは沙耶香と付き合ってんの、知っているんでしょ?」
「なのに同中だからってベタベタするって、性格悪すぎない?それを見て嫌な思いする人がいるって、気が付かないかな」
沙耶香とは、斗真の彼女の名前だ。
何度か見かけたことがある、線の細い綺麗な子だった。
ベタベタなんてしていない。
喋っているだけだ。
私はそう言いたかったのに恐怖で言葉が出ず、ただ呆然とするだけだった。
「とにかく、もう斗真くんには近づかないで」
そう言い残して去って行った3人。
私は恐怖からの解放で思わず座り込んでしまった。
そして、大粒の涙が床を濡らした。
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