それはまるでウインナーのように

2/2
前へ
/3ページ
次へ
「……」  若葉が箸を持ったまま硬直してる。でも顔はきょとんとしてこっちを見てる。 「……何か言えよ。反応ねえと、さすがに恥ずかしいんだけど」  そう言ったら、若葉の顔がみるみる赤くなっていく。  どこまで赤くなんのかな、ってどこか冷静になってる自分がいた。  とうとう若葉の顔が今落っことしたウインナーみたいになった。 「……」  しばらく顔を真っ赤にしたまま箸を持つ手はそのままに、俺を見る若葉。  ちぇっ、可愛いな。  でも、何も言わねえな。失敗したかな。まさか俺に告白されるなんて思わなかったよな。俺のことなんて意識してなさそうだったし。 「陽くん……」  とか思ってたら若葉がようやく口を開いた。 「何だよ」 「私、気づいちゃった……」 「何を?」  若葉が弁当箱を敷物の上に置いて、箸も置いて、俺の方に正座で向き直る。顔は赤いまま。 「私も、陽くんのことが、好き、です……」 「……へ?」  今なんて? 「だから、陽くんのことが……」 「ま、マジで!?」  俺は飛び上がりたくなった。が、靴履いたまま正座してたから、痛い。 「いって」 「あはは、陽くん、何してんのー」  若葉が笑ってる。顔はまだウインナーだ。  今までで一番可愛いと思った。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加