それはまるでウインナーのように

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「最近周りが告白ブームになってるみたいなんだけど」  昼休み。屋上で恒例の週一弁当タイム。いつものように弁当バクバク食ってたら、若葉(わかば)が頬を染めながら唐突に言ってきた。 「あ、そうなのか?」 「うん、ちょっと見てて恥ずかしい……」  俯きながら弁当の玉子焼きを小さく箸で切って口に入れる若葉。可愛いな。 「ふーん」 「(よう)くんは、そういうことない?」 「べっつにー。てか全然気にしてなかったし」 「陽くんはそういうの、疎そうだもんねー」  若葉が微笑む。俺は弁当箱のふたで若葉の顔を見えないようにしながら食う。バクバクしてる。  ようやく落ち着いたかな、と思って、若葉に話を持ちかけようとしたら。  風が吹いた。  若葉のポニーテールの先がふわっとなる。落ち着いたと思った心臓が、またドキンと鳴った。  俺は若葉から顔をそらして、横目で聞く。 「……たとえば、さ。お前はどういうものに憧れるんだよ?」 「どういうものって?」  若葉が首をかしげながらこっちを見る。  だから、いちいち可愛い反応すんなよ。 「その、告白だよ。何か、理想の告白とか、あんの?」  そもそも若葉ってそういうことに興味あんのかな? 「えー、そうだなあ。キザなのはちょっと……。シンプルに好きですとかでいいと思う」 「あ、そ。じゃあ……」  俺は弁当箱を若葉の敷物の上に置いた後、正座して、若葉の方を向いた。靴履いたまんまだからちょっと痛い。だからと言って若葉の敷物に座りたくはない。 「ちょっと陽くん、何してんの?」  若葉が笑いながら弁当のウインナーを箸でつまむ。 「好きです」 「へ?」  箸からウインナーが落ちた。
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