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第2話「いけ好かない転校生」
ここは姫菜のクラス。二年B組。
どうにか間に合った姫菜が、仲の良い友達の空色りんとしゃべっている。
引き戸が開いて女性教師が入ってきた。
「あ、先生だ。姫菜ちゃん、おしゃべりやめよ?」
りんが、姫菜に知らせると姫菜は先生の方へ向き直った。
「今日は、転校生を紹介します。入って、黒蝶くん」
教師は扉に向かって呼びかけた。
引き戸を開けてブレザーの制服の男子生徒が入ってきた。
ざわつく女子生徒達。
教師は黒板に黒蝶の名前を書き説明した。
「ご両親の転勤で、福岡の中学から転校してきた、黒蝶レオくんです。皆さんよろしくね」
「黒蝶くん。皆さんに挨拶して」
「福岡の中学から来ました、黒蝶レオです。どうぞ、よろしくお願いします」
黒蝶はぺこりとおじぎをした。
サラサラの黒髪。なかなかのイケメンだ。
女子生徒達の黄色い声があがった。男子生徒達は面白くなさそうだ。
そんな状況にもかかわらず黒蝶は、興味がなさそうに軽く咳払いをした。
「あーっ! あんた。さっきの猫男っ」
急に姫菜が席を立って大声で指をさした。
一斉に姫菜を見るクラスメイト達。
「朱井姫菜さん。何ですか、いきなり。座りなさい!」
先生の言葉で姫菜は席にストンと座った。
「それでは、黒蝶くんは朱井さんの隣に座ってね」
「はい。先生」
黒蝶は姫菜の隣の席まで歩いてきた。
注目の的の中、彼は席に座ると姫菜に小声でささやいた。
「へえー……。あんたの名前。朱井姫菜っていうんだ? 姫ってガラかよ」
小声でささやき、嫌味ったらしくにやにやと笑う。
「うるさいっ! この猫っかぶり」
姫菜も小声で負けずに黒蝶に言い返す。
「あの事言ったら……わかってんだろうな?」
声色が低くなり、黒蝶の瞳がすっと細くなる。
「うっ……」背筋がぞくりと冷たくなり姫菜は思わず引いてしまった。
授業が終わると黒蝶は、女子達に囲まれてしまった。
「黒蝶くん。あなた素敵ね」
「ありがとう」
周りの女子達を押しのけて話しかけているのは
自称、二-Bの美少女の新田杏奈(にったあんな)だ。新田が横目で姫菜をにらんできた。
姫菜はたまに、新田にいじめを受けていた。姫菜は嫌な予感がしていた。
昼休み。姫菜は新田と取り巻き二人に体育館裏に呼び出された。
新田が姫菜を突き飛ばした。
「あんたさァ……黒蝶くんのなんなのよ!
なんで、黒蝶くんが、あんたなんかを知ってんの!?」
姫菜が心配でつけてきたりんは、その様子を目撃して助けを呼びに走った。
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