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プロローグ
宇宙は広い。とてつもなく広い。
そんな広い宇宙だけれどうっかり宇宙船と宇宙船がぶつかってしまうこともある。
その宇宙船の保有星がテン・シー星とア・クーマ星という仲が悪いというより分かり合えない二星なこともあるし、どちらにも生まれたばかりの双子が乗っているなんていうこともある。
分かり合えない二星だけど風習が同じなんてこともある。
例えば、生まれたばかりの子供をカプセル型の小型船に乗せて宇宙浴をさせるとか。
宇宙船本体と小型船は丈夫なロープで繋がっているけれど、そのロープが切れてしまうこともある。
テン・シー星の宇宙船と繋がっていた二つの小型船のうちの一つと、ア・クーマ星の宇宙船と繋がっていた二つの小型船のうちの一つのロープが切れてふよふよと宇宙を漂うなんてことも、二星の宇宙船があやまった小型船を回収してしまうなんてこともある。
ヒトの手にすっぽりとおさまってしまう小さな体。
茶色いふわふわの毛におおわれた、生まれたてのクマにもテンにも見える姿。
真っ白なタオルにくるまれただけの双子の片割れたち。
二星の宇宙船があやまって回収した小型船に乗っていた子供たちがそっくりで、両親も医師も見分けがつかず、間違いに気付かないまま連れて行ってしまうなんてことも――悲しいけれど起こってしまうこともある。
そして、そして――。
テン・シー星で育ったア・クーマ星人の双子の片割れと、ア・クーマ星で育ったテン・シー星人の双子の片割れが広い宇宙で再び出会うなんていう偶然が起こってしまうこともある。
取り替え子たちの再会の舞台が地球で、パートナーとなる魔法少女を探しに来ていて、その魔法少女たちが取り替え子たちと同じ日に生まれた双子の姉と妹なんてこともある。
テン・シー星とア・クーマ星という仲が悪いというより分かり合えない二星で生まれ、育った取り替え子たちが選んだ魔法少女たちだ。
片や地球と大切な人を破壊するため、片や地球と大切な人を守るため。
片や正義の魔法少女となり、片や悪の魔法少女となる。
全然、分かり合えない使命やら信念やらのために戦うなんてこともある。
これは――。
「お姉様、どうぞ逃げないで! 大人しく私に殺されてくださいませ!」」
なんて取り替え子の片割れに魔法少女として選ばれた妹が言い出して――。
「って、言われて〝はい、わかりましたー〟なんて言うやつがあるか! ふざっけんな、雪乃!」
なんて取り替え子の片割れに魔法少女として選ばれた姉が言い返す。
そんな状況になるまでのお話である。
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