AIベイベー

9/23
前へ
/23ページ
次へ
 そんな風に過ごしてきたがAIロボットの英子との暮らしに飽きてきた、というかJのことは忘れられないのであった。  そんなころにJがFの元に来たが、何か興奮している様子であった。 「私手術して卵巣を体に作ったの」彼女は言った。早速FはJの間に子供を作ることにしたのだ。 「やはり人間の女は可愛いな」とFは彼女の脇腹にキスをした。その時英子はメンテナンスでFのいる自宅にいなかった。彼はしまったと思った。彼の時代にはAIロボットとの結婚は認められていたので、不倫になってしまうのだと気が付いたが後の祭りであった。 「実は私の恋人は武士なの」 「何?」 「今日は帰るわ」 「それがいい」と話していたところ男が部屋の中に入ってきた。 「間男だな」 「誤解です」 「切り捨て御免はわかっているな」 「勘弁してください」 「許せん、切る」 「どうしてここが?」 「英子だ」 「英子?」 「お前のところのAIロボットが教えてくれた」 「まさか」 「切る」 「やめてください」  Jの恋人は刀をあげた。Fは万事休すだと覚悟した。その時武士の後ろから誰かが背中を殴って倒したようだ。英子だった。 「うぐぐ」と武士は苦しそうに声を出した。 「あんたが悪い」  英子は言った。「Jさんはまだ独身だ」 「だから、痛いな」武士は床に腹ばいになった。 「間男ということにはならない」英子は言った。 「確かに。でも気に食わんから切る」 「切るのは私が許さない」  「違法だろ」 「合法だ」英子は力強く言った。 「今回はやめておく」と言って体は痛むようだったが、その武士は外に出て帰って行った。 「ありがとう」Jは栄子に礼を言った。 「助かった」と言ったがFはまだ少し恐怖感があった。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加