prologue

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その王子様は、背が高くて黒衣をまとって冷たい瞳をした黒髪の騎士に護られてんの。そりゃもう、がっちりと。 城壁を乗り越えても、吊り橋を渡っても手下をのめしても、新しいステージが始まるたびに、何度も何度も繰り返し(さら)われてっちゃう。 騎士の名前は、「お兄ちゃん」。 いつも王子様の表情はよく見えない。 きれいな卵形の輪郭、めがね、艶のある柔らかそうな髪。 お兄ちゃんの服の裾を、しっかとつかんでる。 でもいつも俺を見てるんだ。わりとあからさまな好奇の視線でもって。 声をかけると、隠れちゃう。 俺はその細くたおやかな指先にすら、触れられない。 っていう、ここんとこよくみる夢。
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