epilogue

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「翔太さん…日曜日、会えますか?」 「今会ってるじゃん」 「そうではなくて…」 「…日曜は予備校だなあ」 「そうですよね…」 「いちおー俺もまじめに受験生してるからさっ。翠くんもその日はおとーさんのお友達家族と食事なんだろ?」 「でも…少しでも会いたい…」 もじもじとうつむいた。 あれあれ、さみしそうだ。うん、俺も会いたいよ。 「じゃあさ、抜け出して来れる?」 ぱっと目が輝いて、頬が紅潮する。まぶしいくらい。 はじめて会ったとき翠くんが清顕さんに向けたあの笑顔を超えたかな。超えてたらいいなと思うし、それを願う。 「予備校終わったら迎えに行くから。翠くんちの塀を乗り越えると警備の人が来ちゃうから、門出て来れる?」 「はいっ」 うん、いいお返事。 「今年も楽しいこといっぱいしよ?」 「はいっ!」 俺は清顕さんに向かって、おにーさーんと言ってぶんぶんと手を振る。 その王子様は礼儀正しく、でも気まぐれに俺たちを呼びつける。 俺は呼ばれたなら、どこにいたって何をしてたって、すっとんで駆けつける。 黒い騎士は、ゆったりとした足取りであとからついて来る。悠然と微笑みながら。 俺は騎士の目をぬすんで王子様を(さら)い、海へくり出したり、あるときはくまさんに扮していっしょに暗い森を探検した。雪が降る聖夜にパーティーもしたし、俺んちでこっそり裸で抱き合った。 今度の日曜日は、駆け落ちの約束をしている。 終わり
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