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「行ってらっしゃい」
「おう! 宇田ちゃん行ってくるわ」
毎朝営業に出る背中をお見送りするのが僕の役目だ。
今日のスケジュール確認と書類の申し送りも忘れず出来た
一緒に仕事し始めてすこし経ったけど、関係は仕事のペアでまだ何も変わっていない。けど、どんどん仲良くなれている自信はある。
信頼してくれてる様子を事ある毎に感じて、純粋に嬉しい。順調順調。
階の入り口で出ていく前のやり取りを反芻していると、エレベータが開いた。
「おはようございます! ○○運送です!」
「どうも有難うございます」
宅配か。印鑑とペンを持ってないことに気づき、社内に入り机に戻ろうとした足が、動かなくなった。
見慣れた運送会社の制服だけど、いつもの配達員さんじゃない。見慣れてないけど、一度見て絶対忘れない見知った顔!!
「あ、あ、」
「今日からエリアに配属になったので、こちらの会社へも参りますのでよろしくお願いします」
「よ……ろしく、おねがいします……」
驚いて挨拶のオウム返しが精一杯だった。だって! こんなところでこんな形で再会すると思わないじゃん!
わざとだろエリア異動! こっちの動揺をよそに、余裕の笑みを浮かべている、こいつ!
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